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大河原克行のNewsInsight 第331回 隈研吾監修の新コンセプト空気清浄機、シャープが見据えた家電進化の新たな進路

マイナビニュース / 2024年10月1日 15時45分

また、シャープでも、木を使用する上での安全性や、マイナス20℃から60℃までの環境で使用しても影響がないように、試験と改良を繰り返し、空気清浄機に木を採用できる状況を作ったという。

こうしたKKAA、シャープ、岡崎木材工業の3社の組み合わせによって、新たな空気清浄機が誕生したといえる。

今回の製品は、ブランド事業を中心とした事業構造へと変革を進めているシャープにとっても重要な意味を持つ。

沖津社長兼CEOは、「プラズマクラスター空気清浄機は、シャープのブランド事業の中核商品のひとつである。定期的に意見交換をはじめていたKKAAと、さらに踏み込んで共同で検討をはじめ、その成果が今回の新製品である。シャープでは、ユーザーが求めている商品をもっと生み出すことで、ブランド事業を拡大したいと考えており、これは、その提案のひとつになる」と語る。

シャープの永峯副本部長も、「家電と建築という新たな組み合わせによって、これまでにない商品を創出できたことは、シャープのブランド事業が元気だということを証明することにもつながる。ブランド事業を中心とした変革の成果を裏づけることができる象徴的な製品になる」と位置づけた。

また、シャープが長年取り組んできた空気清浄機市場に対して、新たなインパクトを生むとの期待感もある。

シャープの永峯副本部長は、「空気清浄機を設置したくても、設置しにくい場所があった。そのひとつが、ホテルのロビーや部屋ナド、ラグジュアリーな空間の雰囲気にあわないというものだった。今回の製品提案によって、空気清浄機の設置場所を広げたり、海外市場に提案をしたりといったことも可能になる。シャープでは、すでにデザイン性に優れたPureFitをコンセプトとした空気清浄機を海外市場向けに発売し、好評だったことから日本市場にも投入している。今回の新製品は、月産台数が最大100台と限定したものになるが、デザイン性に優れた製品は、高価格帯だけに留まらず、様々な可能性を持つ。空気清浄機市場の拡大や普及率の拡大に向けて、弾みをつけることができる」とする。

シャープでは、2024年11月以降、プラズマクラスターや空気清浄機に関する大々的なプロモーションを展開することになるという。「これまではいい商品を作り、それを発売するだけに終わっていたという反省がある。どんな用途があるのか、どんな効果があるのかといったことを訴求し、改めてプラズマクラスターの認知度を高めることにつなげたい」とする。

機能や性能の訴求だけでなく、用途提案の広がりも、これからは鍵になりそうだ。

さらに、「家電は、AIやIoTにより、便利さや快適さを徹底的に追求する方向性と、多様化するユーザーニーズに対応する方向性がある。後者では、デザインによる価値の提案もある。今回の製品で実現したように、木の経年変化を楽しむといった情緒的な価値を刺激することも重要であると考えている」と語る。

性能や機能だけでない提案は、シャープのブランド事業の成長にとって不可欠な要素であり、今回の空気清浄機新製品は、それを具現化するフラッグシップとしての役割も果たすことになりそうだ。
(大河原克行)



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