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欧州の宇宙開発、新章へ - アリアンスペースが語るロケットと市場の未来

マイナビニュース / 2024年10月18日 17時59分

画像提供:マイナビニュース

●アリアン6は年内にも2号機打ち上げへ、日本との協業も模索
欧州の宇宙企業アリアンスペース(Arianespace)は2024年10月4日、ステファン・イズラエルCEOの来日に合わせ、都内で記者会見を開いた。

今年7月に初飛行に成功した「アリアン6」ロケットをはじめ、年内の打ち上げ再開を目指す「ヴェガC」ロケット、そして新たな小型ロケット「マイア」など、欧州のロケットの最前線と展望について語られた。

アリアンスペース

アリアンスペースは、1980年に設立されたフランスに拠点を置く企業で、欧州のロケットの運用、ミッションの管理、マーケティングなどを担当している。

欧州は1979年、欧州宇宙機関(ESA)主導の下、各国で共同開発した「アリアン(Ariane)」ロケットを打ち上げ、自立した宇宙への輸送手段を手に入れた。そのアリアンを運用する会社として創設されたのが同社である。

同社はまた、世界初の商業打ち上げサービスのプロバイダーとしても知られる。いまでこそ、商業打ち上げ――国内外の民間の衛星事業者などから受注して、ビジネスとして行うロケットの打ち上げ――は当たり前になったが、アリアンスペースはその先駆者だった。

同社はこれまで、大型ロケット「アリアン5」、中型ロケット「ソユーズ」、小型ロケット「ヴェガ」の3機種を運用し、大中小とラインアップすることで、さまざまな衛星の打ち上げに柔軟に対応できることを特徴としてきた。

しかし、大型ロケットの市場では、2010年代から米スペースXの「ファルコン9」が台頭し、アリアン5では価格面などで太刀打ちできなくなった。

また、ソユーズはロシアから輸入して運用しており、かねてより安全保障上の懸念を抱えていた。この懸念はのちに、2022年のロシアのウクライナ侵攻によって現実のものとなり、アリアンスペースによるソユーズの打ち上げは不可能となった。

こうした背景のもと、欧州はロケットの刷新を図り、2014年から「アリアン6」の開発に着手した。アリアン6は、固体ロケットブースターの装着本数を2本と4本で変えることができ、2本のときは中型ロケット「アリアン62」に、4本のときには大型ロケット「アリアン64」になるという柔軟性をもつ。この“モジュール化”により、ソユーズとアリアン5の後継機をひとつのロケットで実現した。

また、小型ロケットのヴェガも、2022年に改良型の「ヴェガC」がデビューした。ヴェガCは打ち上げ能力を少し増して、一度に多数の小型衛星を打ち上げやすくするなど柔軟性の拡大を図ったほか、アリアン6のブースターと第1段の固体モーターを共通化し、シナジー効果によるコスト削減も図っている。

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