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欧州の宇宙開発、新章へ - アリアンスペースが語るロケットと市場の未来

マイナビニュース / 2024年10月18日 17時59分

○打ち上げ基地の改良

大きく重い衛星に対応できる能力の付与
衛星やロケットの保管、各施設をつなぐ道路の改良

アリアン6のビジネス

ビジネス面では、アリアン6はすでに30件の打ち上げ受注を獲得しており、順調な滑り出しをみせている。

そのうち21件が民間からの商業打ち上げ、残り9件が政府系の打ち上げで、また民間からの受注のうち18件は、米Amazonが構築を目指すインターネット衛星コンステレーションの「カイパー」計画のものだという。

イズラエル氏は、「アリアン6は低軌道、太陽同期軌道、静止トランスファー軌道など、あらゆる軌道への打ち上げに対応できる。打ち上げを行うギアナ宇宙センターもそれに適した立地にある。とくに、静止トランスファー軌道への打ち上げ能力は最大11.7tで、これはスペースXのファルコン9の2倍の能力である。アリアン5から継承した静止衛星の2機同時打ち上げもできる。この能力があり、30回の受注が得られた」と語った。

また、近年は小型の静止衛星や、衛星コンステレーション用の衛星を低軌道に大量に投入する需要など、衛星のミッション、市場が多様化、拡大している。これらに対しても、アリアン6の衛星2機同時打ち上げ能力や、ブースターを4本備えたパワフルなアリアン64によって、競争力のあるソリューションが提供できるとしている。

さらに、前述したロケットの保管能力の拡大などを踏まえ、年間10機の打ち上げを目指すし、「2027年にもそのケイデンス(打ち上げ頻度)を実現したい」とした。アリアン5では年間5機から6機の打ち上げだったため、約2倍になる。

加えて「2週間に1回の打ち上げも可能だ」とし、さらなる打ち上げ頻度の向上にも意欲を見せた。

また、日本との協力関係の構築についても言及された。アリアンスペース東京事務所の代表を務める髙松聖司氏は、「日本と欧州は打ち上げ機を取り巻く環境に高い類似性があり、協力できる余地がある」と語る。

「日本と欧州は打ち上げ機を取り巻く環境に高い類似性がある。どちらも年に100機打ち上げられるわけではなく、米国ほど政府の支援が強いわけではない。厳しい環境、競争の中で、日本も欧州も先進国であるために、独自の宇宙輸送系を維持しなくてはならず、その維持のために商業打ち上げでの競争力が必要となっている。それを考えた場合に、日本と欧州は競争関係にはあるが、それはテレビなどの工業製品の競争とは性質が違う。日本と欧州が協調をして相互利益が出るような、そういった枠組みを作りたい」(髙松氏)。

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