欧州の宇宙開発、新章へ - アリアンスペースが語るロケットと市場の未来
マイナビニュース / 2024年10月18日 17時59分
アリアンスペースはかつて、三菱重工と、さらにボーイングも加えた3社で、「ローンチ・サービス・アライアンス」と呼ばれる協力関係を結んでいたことがある。これは、いずれかの企業が、なんらかの事情で商業衛星の打ち上げができなくなった場合に、他社が代わりに打ち上げを行うというものだった。
現在、この枠組みはなくなっている。2013年には、その枠組みを発展させ、打ち上げのバックアップなどを行う協業の検討を行う覚書を三菱重工との間で交わしたものの、「その後、日本はH3の開発で忙しくなり、欧州はアリアン6の開発で忙しくなったことで、検討に十分な時間を割く余力がなかった」(髙松氏)とし、実際のサービス提供などには至っていない。
そして、「いま、両社のロケットがどちらも運用に入ったことで、三菱重工と協業について話をしたい」とし、話を進めることに意欲を見せた。
●開発が進む再使用ロケット「マイア」と、「プロメテウス」エンジン
再使用型の小型ロケット「マイア」と、「プロメテウス」エンジン
小型ロケットの分野では、前述のように2022年にヴェガの改良型であるヴェガCがデビューした。ただ、同年には2号機の打ち上げが失敗し、その後、失敗を踏まえて改良したロケットモーターの試験にも失敗したことで、現在まで飛行停止の状況が続いている。
また、先代のヴェガも、2019年と2020年に打ち上げに失敗しており、信頼性の回復が課題となっている。
ヴェガCについて、イズラエル氏は「ヴェガCは失敗から立ち直ろうとしているところで、ESA、ヴェガCの製造を担当するイタリアのアヴィオ、そして運用を担当するアリアンスペースとの間でチームを組んで取り組んでいる。失敗した原因は完全に理解できており、ノズルのインサート部に変更が必要なことが判明した」と語る。
そして、「2024年の年末までに飛行再開を予定している」と明らかにした。
一方、小型ロケットをめぐっては新たな動きもある。2022年、アリアンスペースの親会社であるアリアングループの子会社として、「マイアスペース(MaiaSpace)」というベンチャー企業が立ち上がった。
同社が開発している「マイア」ロケットは、太陽同期軌道に1500kgの打ち上げ能力をもつ。初打ち上げは2026年を予定する。また、第1段を洋上の船に着陸させて回収し、再使用する構想もあり、その場合の打ち上げ能力は500kgになる。
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