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Ryzen 7 9800X3Dを試す - ゲーミングCPUの本命か? 第2世代3D V-Cacheの威力を徹底検証

マイナビニュース / 2024年11月6日 23時0分

グラフ125~128はProcessor Neural Networkの結果で、これはこれでまたおかしなことになっている。同様にMT+MCと1Tの比を求めると

といった具合で、CNNは兎も角RNNに関しては、MT+MCより1Tの方が性能が出る場合があるというのは、(Sandraの実装が判らないので断言はできないが)メモリ帯域がボトルネックになっている可能性が高い。逆にRyzen 7 7800X3DでCNN TrainingのSingle Precisionだと13.8倍とかいう数字になっており、これもやはりメモリ帯域が関係している可能性が高い。逆に言えばコアの性能はあまり影響しないという事になるようだ。

グラフ129~130がImage Processingで、こちらも

という具合。Ryzen 7 7800X3DのBlurの22.7倍はどう評したものか悩むのだが、例えばDiffusionだとRyzen 7 9700Xが4.5倍なのにRyzen 7 9800X3Dだと8倍まで性能があがる辺りは、Ryzen 7 9700Xではメモリ帯域が足りていないのだろうと見当がつくものの、全般的にRyzen 7 9800X3DのスコアがRyzen 7 9700Xに比べて良いのを全部3D V-Cacheの効用として良いのかは結構ためらう部分だ。

さて、ここからはキャッシュとかメモリ回りを。まずはInter-Thread Latencyのまとめがグラフ131である。こうしてみるとBest CaseとWorst Caseでの差は殆どないのだが、やはりL3を増量した分、Cache Walkingに余分な時間が掛かるためか、Ryzen 7 9700Xに比べてRyzen 7 9800X3Dでは若干Latencyが増えるのは避けられない。特にInter-Core(CCX内の他のコアとの通信)のLatencyは3nsほど余分に要している。ただ、Ryzen 7 7800X3Dに比べるとInter-Thread(同一コア内のThread間通信)とInter-CoreのLatencyの差が埋まる方向になっているのは注目に値する。Inter-ThreadのLatencyがRyzen 9000シリーズで増えているのは、L2のAssociativityが8-Wayから16-Wayになった事と無縁ではない様に思う。

グラフ132・133が実際のLatencyの頻度分布である。Best case(グラフ132)ではRyzen 7 9700Xが一番小さくまとまっており、Ryzen 7 9800X3Dは全体的にLatencyがやや増える方向にシフトすると共に、20ns位まで悪化するケースもあるのはL3大容量化の避けられない代償であろう。Worst case(グラフ133)も同じだが、若干Ryzen 7 9800X3Dの悪化が進んでいる感はある。とはいえ、それでも全体としてRyzen 7 7800X3Dよりは改善されているあたりはZen 5コアに起因する部分なのか、Zen 5に3D V-Cacheを実装するにあたっての改良が何かしら施されているのか、はここからは判断できない。

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