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Ryzen 7 9800X3Dを試す - ゲーミングCPUの本命か? 第2世代3D V-Cacheの威力を徹底検証

マイナビニュース / 2024年11月6日 23時0分

ではInte-Thread Bandwidthは? というと、Best case(グラフ134)だとRyzen 7 9700Xで最大700GB/sec超え、Ryzen 7 9800X3Dだと800GB/sec超えで、これはこれで好ましい結果ではあるのだが、ピークは4×64KBの場合で、これはL3経由ではあるものの、別に3D V-Cacheの効果は無関係(256KBの転送だから32MB L3で十分賄える)な事を考えると、実効動作周波数そのものが14~15%ほど高くなっている公算が非常に高い。L2⇔L3のバス幅は3D V-Cacheの有無に無関係で一定だし、別に3D V-Cacheを積んだから増速するとかいう話は全くないからだ。ちなみにRyzen 7 7800X3Dとピーク性能が大きく変わるのは、Zen 5ではL2⇔L3の帯域が増やされた(AVX512のスループットが倍増したため)事が要因と思われる。

ではMemory Bandwidthは? というのがグラフ136。今回はDDR5-6000の2chだからピーク帯域は96GB/secであり、Streamで55GB/sec程度が確保されているのは割と優秀(効率57.3%)な方だと思う。もっと最適化を進めればもう少し上がるかもしれないが。そして現状でもコアの帯域は十分に高く、1Tでもその55GB/secの帯域をほぼ使い切るという事がグラフ137から判る。まぁHPC向けはともかく、コンシューマ向けにはこの程度で十分だとは思うが。

グラフ138・139がCache領域まで含めてのBandwidthである。やはりコアそのものの帯域が倍増した関係で、どちらもグラフも山の高さそのものがZen 5系は倍増している。実際には倍を超えているケースもあるが、これは動作周波数そのものの違いも絡んでくると考えられる。で、1Tのグラフ139ではRyzen 7 9700Xが最高速なのに対し、MT+MCのグラフ138ではRyzen 7 9800X3Dが最高速というあたり、MT+MCで稼働中の実効動作周波数はRyzen 7 9800X3Dの方が10数%高めに設定されているもの、と理解するのが一番妥当だろう。

最後に念のため、L3周りのLatencyも確認してみた。グラフ140~145がGlobal Data、146~151がInst/Code Memoryで、それぞれMT+MC/1TでSequential/In-Page Random/Full Randomのもの。結果はL3までの比較なのでCycleで示している。Ryzen 7 9700Xは2MB~32MBがL3領域で、Ryzen 7 7800X3D/9800X3Dは2MB~64MBの領域である。まずGlobal Dataに関してはSequentialではL3容量によるLatencyの差は無し。In-Page RandomだとPage Walkの時間が若干増えるためか微妙にLatency増(4cycle)、Full Randomだと差がもう少し大きくなる(5~8cycle)が、Ryzen 7 7800X3Dよりは少ないといったところ。Inst/Code Memoryの方はというと、Sequentialだと1cycle程度の揺らぎはあるものの概ね同等、In-Pageでは2cycleほどRyzen 7 9700Xより増加(ただRyzen 7 7800X3Dよりは圧倒的に少ない)、Full Randomでは結構暴れるものの、こちらもRyzen 7 9700Xから微増といったところで、3D V-Cacheの搭載でメモリアクセスが高速になるとかLatencyが下がるといった効果は無く、ただより大量のメモリ領域をキャッシュできるという効果のみであることが判った。

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