大河原克行のNewsInsight 第341回 狙いは? エプソン異例の大型買収、デジタル印刷の米企業を手に入れた真意
マイナビニュース / 2024年11月28日 20時46分
セイコーエプソンは、2024年度上期連結業績を発表。そのなかで、2024年9月に発表した米Fieryの完全子会社化の狙いなどについて説明した。
セイコーエプソンの小川恭範社長は、「エプソンは、成長戦略を加速するために、プリンターやプリントヘッドといったハードウェアを中心としたインクジェット技術を磨いてきた。だが、印刷データのインプットからアウトプットまでのプロセス全体のデジタル化を実現するシステムソリューションが、エプソンには不足していた。Fieryは、商業・産業分野のデジタル印刷に欠かせないソフトウェアソリューションを提供している。エプソンのインクジェット技術と、Fieryのデジタルワークフロー技術を組み合わせることで、商業・産業印刷領域全体のデジタル化を加速し、ビジネスチャンスが生まれる」と、買収の狙いを語った。
2024年9月19日に契約を締結し、2024年中に完全子会社する予定だ。買収金額は約845億円。エプソンにとっては過去最大の買収となる。
Fiery のCEOであるToby Weiss氏が、そのまま続投するほか、Fieryはエプソンによる買収後も独立した体制を維持し、既存顧客に対する事業も継続する。
エプソンは、長期ビジョン「Epson 25 Renewed」において、成長領域や環境関連、デジタル基盤整備などに対して、M&Aを含めた積極投資を行う姿勢を打ち出しており、今回の買収は、成長領域のひとつである商業・産業プリンティングイノベーション分野への投資と位置づけている。
デジタル化へ、買収でハードウェアとソフトウェアが揃う
Fieryは、1991年にElectronics for Imaging (EFI)のFiery事業として創業。2021年に会社を分割して独立。本社は米シリコンバレーにある。
デジタルフロントエンド(DFE)や、印刷ワークフロー制御および管理などのデジタル印刷ソフトウェアソリューションを開発、販売している。従業員数は788人で、米国およびインドに大規模な開発拠点を持つ。
これまでは、カタログやパンフレット、ハガキ、伝票などのカットシート印刷分野を中心に事業を進めてきた企業であり、この分野のマーケットリーダーとして、今後も安定的な収益が見込めるのに加えて、依然としてアナログ印刷が主流となっている産業印刷分野に対して、デジタル化の進展にあわせて大きな成長が見込めると期待している。
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