“オールドメディア”が信頼を取り戻すために――名張毒ぶどう酒事件に取り組み続けてきた阿武野Pが語る「背骨」の必要性
マイナビニュース / 2025年1月2日 7時0分
●最後の再審請求人が94歳に…「残された時間の重さ」
1961年、村の懇親会で振る舞われたぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡した「名張毒ぶどう酒事件」。犯人と目された奥西勝さん(当時35)は一審判決で無罪を勝ち取ったが、二審では一転して死刑判決に。以降、無実を訴え続けるも、2015年に89歳で獄中死した。
この事件を46年にわたり取材してきた東海テレビのドキュメンタリー映画『いもうとの時間』(1月4日から東京・ポレポレ東中野、ヒューマントラストシネマ有楽町で公開)。プロデューサーの阿武野勝彦氏は、同局を退職するにあたっての最後の題材に、この事件を選んだ。
そこにはどんな思いが込められているのか。また、今回の主人公である“いもうと”が戦い続ける原動力とは。昨今「オールドメディアがSNSに負けた」と言われる中で改めて実感した継続して取材・報道を続けることの意味なども含め、阿武野氏に話を聞いた――。
○「袴田事件」や『虎に翼』がきっかけに
24年1月末で東海テレビを退職した阿武野氏。名張毒ぶどう酒事件のドキュメンタリーは、自身の仕事の中で「背骨」と位置づけていることもあり、在職中最後のプロデュース作品として、同年2月10日に東海ローカルで放送された『いもうとの時間 名張毒ぶどう酒事件・裁判の記録』を手がけた。主要スタッフの鎌田麗香監督と奥田繁編集マンが、藤井聡太棋士の取材に追われていたため、完成したのは阿武野氏が退職する1月31日の夜というギリギリのタイミングだった。
そこから追加取材・再編集した今回の劇場版『いもうとの時間』を製作することになったきっかけの一つは、1966年に発生した通称「袴田事件」の再審判決が出ること(9月26日に無罪判決)。そして、日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ女性を主人公に描かれたNHK連続テレビ小説『虎に翼』が反響を呼んでいたことも大きかった。
「裁判官や司法の世界が芳醇に描かれたドラマが放送されたことで、身近に感じたり、歴史的な流れを捉え直す人も多いと思ったので、そんな皆さんに“名張毒ぶどう酒事件というものをどういうふうに見ますか?”と問いかける意味で、今こそ公開する意味があるタイミングだと思いました」(阿武野氏、以下同)
○妹がはっきりと言った「ちょっとの間も忘れたことない」
東海テレビでは、名張毒ぶどう酒事件を題材にしたドキュメンタリーを8本制作し、劇場映画はこれで4作目。様々な切り口で描いてきた中で今回、奥西さんの妹・岡美代子さんをテーマにしたのは、「残された時間の重さを世の中に訴えたい」という思いだった。
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