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PCテクノロジートレンド 2025 - プロセス編「Samsung」と「Intel」

マイナビニュース / 2025年1月2日 10時0分

流石にここまで歩留まりが低いと想定顧客も全員NGを突き付ける訳で、現時点でSF3を利用しての量産を決めた顧客は皆無とされている。例えばハイエンドスマートフォン向けの150平方mm程度のダイをD0=1.5で製造すると、Yieldは実に15.8%。408個のダイが作れるが、そのうち良品は63個だけである。もっと大きな、例えば300平方mmのダイになると、200個のダイのうち良品は9個、Yieldは4.8%である。流石にこれで量産しよう、という勇気があるメーカーは皆無である。

このSF3を利用して製造予定だったSamsungのExynos 2500のEngineering Sampleの出荷も遅れていた。2024年12月末に韓国のThe Elecが報じたところによれば、Samsung ElectronicsはExynos 2500を2025年発表のGalaxy Z Flip 7に搭載の予定だという。いわゆるFoldable、折り畳み式スマートフォンであるが、このマーケットは非常に小さい。同社のGalaxy Sシリーズは3億台近い生産予定があるのに対し、Galaxy Z Flip 7は300万台程度と非常に小さいが、これは逆に言えば現在のSF3で量産できるチップの数が極めて少ない事の裏返しであり、Foldableスマートフォンの様なマーケットに供給するのが精一杯という話である。

それでも問題がSF3だけであればまだ良かったのだが、SF2についてもYieldが殆ど同じ状況、という事になっているのが同社のビジネスを極めて難しくしている。こちらは2025年の量産開始であるが、現状でSF2を利用してのEngineering Sampleも同様に極めて低いYieldであり、しかも短期的に向上の手立ては見つかっていないらしい。そもそもSF3のYieldを向上させられない状況で、より技術的難易度が上がるSF2のYieldが上がる筈もないのだが。結果、例えばSnapdragon 8 Elite Gen 2は当初SF2の利用が検討されていたものの、このプランは破棄されてTSMCのN3Pのみでの製造という事が決定したとの事。筆者が知る限り、現状でSF2での製造を明言しているのは、日本のPreferred NetworkのMN-Coreの次世代製品(Photo04)のみとなっている。

話を戻すと何でSF2がビジネスに絡んでくるか? と言えば、同社のFabの増設状況にこのSF2の動向が関係しているためだ。現在同社は韓国のPyeongtaekにP4 Fabを建設中であり、また米テキサス州TaylorにもFabを建設中である。Taylor Fabの方はロジック向けとされて4nm~2nm世代の製造を行う予定であり、一方P4 Fabの方はDRAMとNAND型フラッシュメモリ、それと4nm~2nmのロジックの全てを賄う先端Fabになる予定であった。このP4 Fabの方は4つのフェーズに分かれていて、第1フェーズではNANDフラッシュ、第2フェーズでロジック、第3フェーズでNANDフラッシュの追加ラインとDRAM、そして第4フェーズでロジックの追加ライン、という計画になっていた。さらに同じくPyeongtaekにP5 Fabを建設する予定もあり、こちらは当初は2024年7月末までに建屋が完成する予定であった。

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