PCテクノロジートレンド 2025 - プロセス編「Samsung」と「Intel」
マイナビニュース / 2025年1月2日 10時0分
ただ厄介なことに、米国政府は2024年4月にCHIPS法に基づきこのTaylor Fabおよび既に稼働中のAustin Fabに対して最大64億米ドルの補助金を支出する事を決定している。この補助金のほとんどはTaylor Fab向けで、SF2あるいはそれ以降のプロセスでの生産に加え、先端パッケージの提供に対しても補助金が支出される。現状Taylor Fabで可能性があるのはこの先端パッケージだけという事になるが、それだけのために稼働させるか? というとかなり怪しい。かといって、この補助金を米国政府に返納するのも難しい。このTaylor Fabの扱いがクリアになるまでにはもう少し時間が掛かりそうだ。
皮肉にもSF4に関してはそこそこ真っ当なYieldが実現出来ているそうで、こちらに関しては今のところ順調である。こちらはおおむねTSMCのN5/N4と同等のプロセスであり、TSMCのN5/N4の需要が引き続き逼迫気味である事が理由で、それなりにTape outの数も増えているらしい。個人的にはTaylor Fabも当初の予定通りSF4からスタートすれば、とりあえず作るものが無いという状況からは逃れられそうな気もするのだが、コスト的にそれで帳尻が合うかどうかは良く判らない。
それでもDRAM及びFlash Memory部門があるお陰で、Samsung Electronicsの半導体部門全体としては何とか黒字が維持できているあたりがIntel Foundryより状況的にはまだ良い、というのが2025年初頭の状況である。この状況を打開し、なんとかFoundry Service単体での黒字化を実現するために、2024年11月には事業部長を刷新、12月には拠点をPyeongtaekに移動する事を発表している。こうしたテコ入れで何とかなればいいのだが。そんな訳で2025年のSamsungのロードマップは、とりあえず2024年に出したものを何とか実現すべく努力するといった感じで、新しい話は特になさそうである。可能性としては、特にバリュー向けのGPU製品などにSF4が使われる可能性はありそうだが、現時点で確たる決定が何か伝えられている訳ではない。
Intel Foundry - Gelsinger路線を「当面」継続、未知数のその後
復活のための最大の推進役であったPat Gelsinger氏を2024年12月に更迭されてしまった事で、はしごを外されてしまった感のあるIntel Foundryであるが、後任が決まるまでの暫定共同CEOであるDavid Zinsner氏とMichelle Johnston Holthaus氏は「当面」従来の戦略に変更はないとしているので、今しばらくはGelsinger氏時代のロードマップに従う形になるかと思われる。
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