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家族が認知症になりまして 第2回 九州男児の父の自信も回復? “認知症の解像度”が高い福岡市が推進するコミュニケーション・ケア技法と「オレンジ人材バンク」とは

マイナビニュース / 2025年1月27日 9時5分

――党さんは長年、介護の現場で働いていたということですが、日本の認知症に対する状況はよくなっているという実感ですか?

確実によくなっていますよ。だって50年前に“痴呆”と呼ばれていた頃は、身体拘束は当たり前。鍵のかかる部屋に閉じ込めて拘束服を使っていましたよ。僕が30年前にこの業界に入った時にもまだありました。その状態で当事者が「帰りたい」と言うと、認知症の問題行動だと言っていたわけです。その人のためと思ってやってきたけど、一方でこのやり方はどうなのかと疑問でした。

――親世代が認知症のイメージが悪いのは当然です。そこに疑問を持ってくれた人がいたおかげで今の状況まで改善されてきたんですね。

多くの実践者がおかしいと思っていたはずですよ。そこからやがて介護保険制度ができ、“措置“から“ケア”“サービス”になり、当事者が主体になった。そして現在、認知症基本法という法律ができ、フレンドリー社会について考えるチャンネルが増えているのは、アップデートにほかならない。さらにこの先どうなるのかは、考えていかなくてはいけないですね。

――福岡市のように行政主導だと変わりやすいものですか?

実態が行政を変え、国を変えるという話になっていくと思います。制度はあとからついてくるもの。政策についてはわかりませんが、私は専門職の人たちが実態を生み出し、新しいものを作り、行政の仕組みを変えていくほうが健康的だと思いますよ。一発では変わりません。コツコツ、コツコツと言い続けてやり続けることが大事で、やり続けるということはつまり、実態が育まれるということなんです。

お話を伺って、「行政主導のスピード感」と「専門職が知る実態」のハイブリットだから、福岡市は認知症への解像度が高く、ひとつひとつの最適解を生み出していっているのだと感じました。私自身、失敗や不安には原因があるという発想は、父と向き合う上でとても役立っています。センターでは各講座や認知症の人の集いを行っているほか、基本的には誰もがふらりと寄れるような開かれた場所になっているのもうれしいところ。このような場所が各地に増えることを切に願います。

加治屋 真美 エンタメ系ライター。テレビ誌ライターとして日本のドラマや映画出演者のインタビュー記事を担当するほか、日韓アイドル好きが高じてライブレポートも多く手掛ける。現在は父親が認知症になったことをきっかけに地域共生社会へ興味を持ち執筆ジャンルを拡大中。▼ポートフォリオ▶ この著者の記事一覧はこちら
(加治屋 真美)



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