1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

琥珀色と魅惑の味わいが生まれる過程、ウイスキーの製造工程を理解する

マイナビニュース / 2025年1月31日 13時27分

地域による水質の違いも見逃せません。例えば、スコットランドのラガヴーリン蒸留所の仕込み水はソラン湖の湧水を使っているのですが、なんと琥珀色の水なのです。これはピート(泥炭)が溶け込んでいるためで、個性的な味わいに影響していると言われています。

日本の蒸留所は、豊かな軟水資源を生かして繊細な味を引き出しています。山崎蒸留所で有名な大阪近郊の水は雑味が少なく、柔らかな甘みを生むとして知られています。スコットランドの硬度の高い水と比較すると、単に数値の違いだけでなく、仕上がるウイスキーの輪郭にも差が出るのです。

麦芽(モルト)を作る製麦(モルティング)

ウイスキーの主原料である大麦は、そのままでは酵母が発酵に用いる「糖」を含んでいません。そのため、大麦を発芽させ、デンプンを糖に変えるための酵素(アミラーゼ)を生成します。この工程を経ることで、後にデンプンが発酵可能な糖に分解される準備が整います。麦芽を作る工程を製麦(モルティング)と呼びます。

スコットランドの伝統的なフロアモルティングでは、床に広げた大麦を定期的に攪拌(かくはん)しながら発芽を管理します。機械化が進んだ現代では効率化されたモルティングプラントを利用するところが増えている一方、あえてフロアモルティングを続ける蒸留所もあります。コストや労力はかかりますが、伝統的な手法によって得られる風味を重視しているからです。

スコットランドでは、発芽の後に泥炭(ピート)を焚いて乾燥させることが多く、その煙をしっかりと麦芽に吸収させると、いわゆるピート香と呼ばれるスモーキーなフレーバーが生まれます。アイルランドではピートを使わずに乾燥させるケースも多く、柔らかくライトな仕上がりになりがちです。

日本の蒸留所はピートタイプとノンピートタイプの両方を使っています。山崎蒸留所のように基本的にはピートを炊かない場合は、マイルドで上品な麦芽の香りを前面に押し出せます。一方で北海道の余市蒸留所はスコットランドの伝統を踏襲したピート使いが特徴です。同じ日本の蒸留所でも、原料の段階からまったく違ったアプローチを取り入れているのが面白いですよね。

仕込み(マッシング)が決める甘みとボディ感

製麦を終えたモルトは粉砕した後、お湯と混ぜ合わせてウォートと呼ばれる液体を作ります。これは、糖分を抽出するための仕込み(マッシング)と呼ばれる工程です。

お湯の温度は通常、63~68℃に設定。温度が低すぎると酵素の働きが弱まって糖分の抽出が不十分になり、高すぎると酵素が失活してしまいます。温度管理や攪拌の方法によって糖分の抽出具合が変わるので、ここでの作業がウイスキーのボディ感や甘みの輪郭を左右します。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください