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琥珀色と魅惑の味わいが生まれる過程、ウイスキーの製造工程を理解する

マイナビニュース / 2025年1月31日 13時27分

アメリカのバーボンやブレンデッドウイスキー用のグレーンは、連続式蒸留器が用いられることが多いです。蒸留工程が一連で行われるため連続的に蒸留可能で、効率的に大量のアルコールを生成できます。

日本の蒸留所はスコットランドのポットスチルスタイルを取り入れるところが多いですが、設備の形状やサイズを微妙に変えて独自の風味を出そうとしています。ポットスチルの背が高く胴が広い形状なのか、ネックが長い形状なのかといった違いだけでも、アルコールの再留部分や銅との接触面積が変化し、仕上がりに大きな差が出ます。

日本でもポットスチルを製造しています。三郎丸蒸留所が特許を取得したポットスチル「ZEMON(ゼモン)」は、世界初の鋳造製ポットスチルとして注目されています。この蒸留器は、富山県高岡市の伝統工芸である高岡銅器の梵鐘製造技術を応用して開発されました。

「ZEMON」は、従来の純銅製ポットスチルとは異なり、銅と錫(スズ)の合金を鋳造しています。蒸留器の耐久性が向上し、製造期間の短縮やコスト削減というメリットがあるのです。銅と錫の効果により、酒質がまろやかになるのも特徴です。

熟成(エイジング)でウイスキーに魂を吹き込む

ウイスキー造りでもっとも時間をかけるのは、熟成のプロセスです。原酒をオーク樽に入れて長い年月寝かせることで、樽材から甘みやバニラ香、スパイス感などが染み出し、アルコールと一体化していきます。色も琥珀色になり、年を追うごとに色が濃くなっていきます。

バーボンは新樽を利用しますが、ほかの地域では別のお酒を熟成させた樽を再利用することが多いです。一般的にはバーボン樽やシェリー樽が多用されますが、ワイン樽やラム樽などを使って複雑な仕上がりを狙う蒸留所も増えています。

熟成年数による風味の違いは大きく、有名なスコットランドのシングルモルトでも10年、12年、18年など各段階で味の深まり方が変わる点が興味深いところ。長く熟成させるほど樽由来の香味が強くなり、味わいが丸みを帯びて上品な甘さを感じるようになる傾向があります。

地域ごとの気候風土によっても、熟成の速度や仕上がりが違ってきます。スコットランドは涼しい気候のため、比較的ゆっくり樽との化学反応が進むと言われています。

アメリカのバーボンは、高温多湿な気候と比較的薄い樽材の影響で熟成がスピーディーに進みやすく、2年から4年ほどでも十分な色合いや風味が出るのが一般的です。日本の気候は四季の寒暖差が大きく、蒸留所の立地にもよりますが、樽熟成の進み方にメリハリが生まれやすいことが特徴でしょう。そのため10年未満の若い原酒でも、意外としっかりとした味わいを持つ銘柄があるのです。

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