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琥珀色と魅惑の味わいが生まれる過程、ウイスキーの製造工程を理解する

マイナビニュース / 2025年1月31日 13時27分

スコットランドの伝統的な設備である「ラウタータン」は、円形の大きな槽の底に細かいスリットがある構造となっており、もろみと麦粉をていねいに分離します。アメリカではより大きなスチールタンクを使い、一度に大量のモルトを仕込むことが多いです。

発酵(ファーメンテーション)が造り出す複雑な香り

仕込みを終えた甘い液体に酵母を加え、アルコールを生成する工程が発酵です。酵母は糖分をアルコールと二酸化炭素に変えるだけでなく、エステルやアルデヒドなどの複雑な香気成分を作り出します。そのため、発酵時間の長短がウイスキーの最終的な香りに大きく関わるのです。

伝統的には48時間ほどの発酵で十分とされる場合が多いのですが、70時間以上の長時間発酵を行う蒸留所も存在します。長時間発酵によって果実香が強まるケースや、ナッツのような風味が深くなるケースなど、味の方向性が変化するのです。

スコットランドでは、ウォッシュバックと呼ばれる木製の発酵槽が歴史的に使われてきました。木製の槽は微生物が定着しやすい一方で、管理が難しくコストもかかります。それでも木ならではの自然な保温力や微妙な通気性が、ウイスキーの複雑な味わいを育むと考えられています。

最近では、掃除のしやすさや耐久性を重視してステンレス製の槽を導入する蒸留所も増えました。木製とステンレス、どちらを使うかは蒸留所の方針やコスト管理、目指す風味の違いによって分かれます。

日本でも発酵へのこだわりは強く、厚岸蒸留所のように長時間発酵を試みるところも出てきています。よりフルーティーで複雑なアロマを狙ったアプローチと言えるでしょう。実際に厚岸のシングルモルトを飲んでみると、清涼な空気のイメージと相まって繊細で奥深い香りに仕上がっていると感じられます。

蒸留(ディスティレーション)が形作るアルコールの輪郭

発酵後の液体はウォッシュと呼ばれ、これを蒸留することでアルコール度数を高めながら不要な成分を取り除きます。蒸留には単式蒸留器(ポットスチル)と連続式蒸留器(カラムスチル)という大きく2種類があります。

スコットランドのシングルモルトウイスキーは、ポットスチルを使った2回蒸留が定番です。2回の蒸留によってアルコール度数はおよそ70度前後にまで高まり、濃縮されたフレーバーの原酒が完成します。アイルランドでは3回蒸留を採用するところも多く、よりライトでスムースな口当たりになります。

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