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中国風ゲンコツのおさめ方 - ふるまい よしこ 中国 風見鶏便り

ニューズウィーク日本版 / 2013年10月12日 16時45分



 国慶節休みが終わった。人肉掃除機が次々と職場に戻ってくる。北京の空気の質が一挙に良くなった。これこそが愛国精神の最も具体的な表現さ。(@formatself)

......中国国内ではツイッターは一般的な方法ではアクセスできないため、そこに集まる人たちは日頃から政府が講じた手段に対抗意識を燃やしている。中国政府に対して批判的な声が集中しやすく、それをそのまま中国国民の声をそのまま反映したものと言い切ることはできない。だが、彼らがそこで規制や政府が醸し出す社会ムードを気にすることなく熱く語り合うような話題は実はまた巷のホットな事情を反映している。そこでは国産マイクロブログ「微博」で発すれば簡単に削除されてしまうような本音が飛び出すから、微博水面下でどんな思いが飛び交っているを知ることができる。

 そんなツイッターで流れる「愛国」話題の中に、微博で1500万人のフォロワーを持つ人気ユーザー、任志強氏のつぶやきがコピーされて流れてきた。任氏は不動産開発会社、華遠集団のトップだ。父親が中国政府の高官を務めたためにこれまでずっと「官二代」(官僚子弟)「紅二代」(共産党子弟)だと思われていたが、微博で不動産業界や政策に対する批判を繰り返して庶民の間であっという間に人気者になった。その任氏がこうつぶやいたのだ。


 9月28日、中央電視台がオフィスに取材に来た。ぼくが「どうせ取材しても流さないんだろ」と言うと、若い記者は「流します」と言った。質問:愛国ってなんですか? 答「政府の間違い全てを批判することでこの国で暮らす人民の生活をもっと良くし、もっと多くの権利や自由を享受できるように努力すること」質問:どうやってその愛情の深さを証明する? 答「批判が厳しいほど、愛情は深い。政府の職権乱用を放任することは逆に最も非愛国的な行為だ」でも、やっぱり放送されなかったね。


 ここでやっと、国営放送の中央電視台が「愛国」をテーマに市民にインタビューして、国慶節休み中のさまざまな時間帯のニュース番組で繰り返し流し続けたらしい、と気がついた。調べてみると、昨年「あなたは幸せですか?」をテーマにした街頭インタビューを流したように、今年も同電視台は各地で「愛国って何?」について市民に問いかけたという。

 それを聞いて「愛国インタビュー? 今さら何を言ってるんですか?」と思ったのはわたしだけではなかったのは、先のツイッターでのつぶやきを見ても明らかだろう。

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