中国風ゲンコツのおさめ方 - ふるまい よしこ 中国 風見鶏便り
ニューズウィーク日本版 / 2013年10月12日 16時45分
こちらの想像どおりの「918」や尖閣(高齢層)と日本製品ボイコットを口にした人たちの後に、非理性的な行動を非難する若者の声が流れた。そして賑わうレストランでまさに鍋を囲んでいる人たちが次々と自国の今の豊かさを語る。中国では昔から食事を取る姿は「豊かさ、満腹(満足)感」の象徴だ。続いて中国外交部の洪磊報道官(つまり権威筋)が、「我が国は屈辱の歴史から抜け出し、世界舞台の中央に立った。東方に屹立する国の報道官を支えるのは我が国の強大さだ」と言って終わる。
これは、明らかに国民を「なだめる」ために作られている。昨年の「あなたは幸福ですか?」インタビューのように見るからに貧しそうな人たちの幸福感イメージを煽って終わるのではなく、昨年の反日デモで猛り狂った「愛国」という炎を国民をなじることなくなだめるという政府の意図が透けて見える。理性的なデモを訴える若者は昨年のデモの最中にもいた。だが、彼らはその後政府によって尋問され、拘束された人もいる。当時は「理性」など公開の場で説いてはいけなかったのに、今は国家放送局の中央電視台がどうどうと「理性」を庶民に語らせているのだ。
そうした中国政府の動きの一環として、安倍首相と習近平国家主席が握手したのは間違いないだろう。中国政府は口を滑らせた安倍首相の言葉の裏取りにやっきになる日本メディアにむっとしたらしいが、それでもゆっくりと、そしてやっと「あげた手を下ろし始め」ている。だが、政府が口を開けて語らない限り、それは公式の態度ではない。先を急いで有頂天になってぺらぺら調子に乗ってしゃべるやつは「軽いやつ」と見なされるのはどの世界でも同じだ。
「最初にゲンコツを振り上げ、強面で迫る」これは昔から中国政府の常套手段だ。無表情でその手の置所を探す中国側のこの無言の歩み寄りに、日本はどこまで重厚な態度を保てるのか。今は日本の外交姿勢も試されていると認識すべきだろう。
この記事に関連するニュース
-
靖国神社落書き事件、中国報道官は日本要人の参拝を批判した上で「現地法律は順守を」
Record China / 2024年7月13日 13時30分
-
反日投稿を大量削除「ナショナリズム」を焚き付けない当局の本音と日本人を守って死亡した中国人女性の実像
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月8日 17時47分
-
中国・蘇州で起きた日本人母子襲撃事件は本当に偶発か?
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月7日 0時26分
-
蘇州の日本人母子襲撃事件後、今日の愛国はより理性的に―中国メディア
Record China / 2024年7月5日 8時0分
-
韓国観光業界が嘆く「中国人が戻ってこない」理由
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月20日 15時25分
ランキング
-
1トランプ氏登場で初日から最高潮の共和党大会 「顔が疲れている」と心配の声も
産経ニュース / 2024年7月16日 21時33分
-
2タイ・バンコクの高級ホテルで6人死亡 毒物を摂取との情報も
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月16日 23時32分
-
3情報BOX:関税引き上げや不法移民送還、トランプ氏「2期目」の公約
ロイター / 2024年7月16日 18時5分
-
4オマーンでシーア派モスク襲撃6人死亡、「イスラム国」が犯行声明
ロイター / 2024年7月17日 9時45分
-
5フィリピンで日本人4人拘束 日本から逮捕状 カンボジア拠点の詐欺グループか
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月17日 11時23分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)