東莞、東莞 - ふるまい よしこ 中国 風見鶏便り

ニューズウィーク日本版 / 2014年2月13日 7時0分

 中国のお騒がせ国有テレビ局、中央電視台がまた「大地震」を引き起こした。ネットがえらい騒ぎになっている。中央電視台といえば、昨年の春のアップルのメンテナンス契約問題、夏には著名微博ユーザーの「売春」逮捕と「自供」、秋のスターバックス「価格差別」叩きをそれぞれぶちあげ、こうやって書きだすとほぼ季節の風物詩化していることに気づく。そして今度は春節明けに、またやってくれたという感じだ。

 騒ぎのきっかけは今月9日、日曜日の午前に流れたニュースだった。華南の広東省にある都市、東莞市でさまざまなホテルや風俗店の様子をカメラで隠し撮りしたものが次から次へと流れ、「今日は普通なら陽の光を見ることが出来ない非合法の行為に焦点を当てましょう。それは売春、買春です」とやったのである。

 もちろん、中国では買春も売春も違法である。10年ほど前に日本から社員旅行で東莞の隣町、珠海を訪れた日本人観光客グループが買春で摘発されて拘束され、大騒ぎになった事件を覚えている方もいるかもしれない。当時、中国を知る日本人の中から「違法だが、中国では売買春はそんなに珍しいものではないはずなのに...」という声も出た。だが、違法であることは間違いなく、そんな中国でも取り締まりは行われているのも事実だった。

 今回の報道も一応、そんな「違法性」をタテに斬りこんでいた。カメラには、東莞市内のあちこちのホテルやカラオケ、サウナの入り口、そしてその中で顧客たちの前に女性が並んで選抜ショーが行われている様子、そして下見した部屋や料金体系を説明する責任者の姿まで収められていた。中には部屋に入って脇のカーテンを開けるとそこは飾り窓になっていて、女性たちが半裸で踊る様子を眺めることができるという仕掛けも紹介された。

 さらに記者はそのうちの一か所で出くわした男性たちのグループが高級車アウディに乗って帰っていくのを尾行。彼らの勤務先とみられる場所の看板を撮影、車もその会社が所有するものであることを突き止めて実名で公表。一方で、東莞の警察に電話していくつかのホテルで売買春が行われていることを通報したが、「チェックに行く」と言って電話は切れたものの、結局いつまで待ってもパトカーどころか警官一人も現れなかったと報告していた。

 こうなると、すわ、これは町の警察ぐるみの売買春ではないか、どんな利益が絡んでいるんだ?と誰もが思うだろう。番組は明らかに、視聴者にそういう憤りを植え付け、「違法なる売買春産業の厳しい取り締まり」が行われることを期待するように作られていた。

ニューズウィーク日本版

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