さらば、ジャンボジェット
ニューズウィーク日本版 / 2014年4月8日 16時47分
乗客に愛着を感じさせる航空機は多くない。特に混んだ空港やぎゅうぎゅうの機内など、空の旅が不愉快な試練になりつつある最近の状況ではなおさらだ。だが「ジャンボジェット」の愛称で知られるボーイング747-400型機にはいつも特別な何かがあった。巨大なクジラのような機体が40年以上にわたり世界の都市を結び、信頼感と心地よい空の旅を提供してきた。
航空機としてはまれに見る長い現役生活だ。だが空を飛ぶ747の数は急速に減り、ついに引退の時を迎えようとしている。全日空は3月31日で、747の最後の2機を退役させた。これで日本の航空会社が運航する747は姿を消すことになる(かつて世界で最も多く747を保有していた日本航空は、11年に同機の運航を終えた)。
747の退役を惜しみつつ、ボーイング社は747の後継機としてボーイング777型機の改良版を開発中だ。燃費が最大15%改善され、座席数は最大407席と、初期のジャンボジェットと遜色ないこのモデルは、航空会社の利益率改善に貢献することだろう。
これは2基のエンジンを積んだ双発ジェット機の勝利を意味する。2都市間を直行で飛ぶ国際路線では、747のような4基のエンジンを搭載したジェット機ではなく、新世代の双発機が使われることになる。ボーイング777や、少し小型の787ドリームライナー、そしてエアバスのA350型機だ。
この変革のカギは、航空機そのものではなくエンジンにある。これまで、エンジンの信頼性が認められるかどうかが大きな課題だった。
双発機のエンジンに対する信頼が確立されるまでには長い歳月がかかった。ジェット機の登場から40年間、航空安全の専門家は、2基のエンジンで洋上を長く飛ぶのは危険過ぎると主張してきた。海を渡るルートで運航を許されるのは、エンジンが1基故障しても安全に陸地にたどり着ける3〜4基のエンジンを搭載した航空機だけだった。
エンジンがもたらす変化
この安全基準の制約がなければ、経済的な側面にもっと目が注がれただろう。通称「ビッグツイン」と呼ばれる胴体の大きい双発機は、航空機として燃費が最適化されたモデルだ。
だがビッグツインの洋上飛行が認められるまでには何年もかかった。1980年当時、米連邦航空局(FAA)長官だったリン・ヘルムスは、ボーイングの幹部に「双発機の洋上長距離飛行を認めるなら、地獄に落ちたほうがましだ」と言っていた。
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