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事業担当者は、法務パーソンと共犯関係を結べばいい

ニューズウィーク日本版 / 2016年9月23日 13時51分

【参考記事】ノイズこそ大切に守るべき創造性の種



興味や情熱を共有できる、共犯関係を結べる法務のパートナーを作る

 それから、オープン化には上司や社内のキーパーソンを説得するロジックや、リスクヘッジがどこまで固められているかといった信頼の獲得材料をどれだけ提示できるかも勝負どころになるでしょう。

 僕が事業担当者に対してよく言うのは、企業の法務部の中にパートナーを一人作ろうということです。ある程度の規模の企業なら法務部の人数もそれなりにいますし、堅そうに思える法務部にも一人くらい変わった人がいるので、そういう人をいかに見つけるかが重要です(笑)。そういう人と共犯関係を作るんです。そういう話が分かってくれそうな人、アイデアを即座に否定するのではなくて、実現のための道筋を一緒に探してくれるようなパートナーを、まず一人作るのが大事だという気がしますね。

 それは法務の側にとってもメリットになると思います。プロジェクトの終盤になってから、契約書なり規約なりの書面内容を「チェックして」と一方的に頼まれても、今の時代の多面的なリスクに対応できませんし、そもそも気持ちが盛り上がらないですよね(笑)。それは人間として当然の反応でもあるでしょう。だから企画の段階から法務の人を巻き込んで、当事者意識を持ってもらうような工夫も必要だと思います。

 日常会話の中にリスク察知のきっかけだとか物事を円滑に進めるための秘訣が潜んでいるような気がします。何か問題が起きてからではなく、日常的に法務の担当者と接しておくことは、リスク回避だけでなくプロジェクト成功の1つの手立てといえるかもしれません。

社会的インパクトの見込まれるバイオテクノロジーとブロックチェーン

 最近興味があるテーマはバイオテクノロジーとブロックチェーンです。バイオはカルタヘナ法**** という遺伝子の組み換えを規制する条約とその法律があるものの、十分な法整備がなされていない状況です。今後ゲノム情報やゲノム編集技術を使ったテクノロジーがさまざまに開発されるでしょうし、産学連携やバイオベンチャー、DIYバイオなど研究機関外の展開も見込まれるので、ある程度の整備が必要だと思います。

 ただ、テクノロジーの先導を誰が担うかによって、法整備の仕方は変わってくるはずで、その見極めが難しいですね。ファブラボやメイカーズのようにモノづくりを率先して始める人が次々出てくればそれを踏まえた法規制があるべきでしょうけれども、大学から火をつける形で産業界に少しずつプレイヤーを作っていくのであれば、最初から見通しの良い道を作ったほうがいいのかもしれません。法整備は安易に行うと新しい技術やそこで生まれた文化の芽を摘んでしまう一方で、逆に法整備がなされることにより、大企業や巨大資本の投資を呼びこむことが可能になったりします。

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