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トランプ、クリントンいずれでも中国に強硬策は取れず――小原凡司・東京財団研究員に聞く

ニューズウィーク日本版 / 2016年10月11日 11時22分

航空優勢、第1列島線超えて顕示

――韓国内での核保有論の高まりに対し、中国はどう見ているのでしょう。

小原氏 中国は、朝鮮半島が核を持つことに反対です。北朝鮮の核保有に反対しているのは、半島情勢の今後が不透明で、南北が統一されて米国寄りの核保有国になったら、中国にとっての悪夢でしょう。緩衝地帯としておきたいという以上は望んでいません。その意味で韓国はもちろん北朝鮮の核保有も嫌だということです。

 中国は、米国が極度に引いてしまうとこの地域のバランスが崩れて、日本や韓国に核武装論が出てくるのは困る。在日・在韓米軍に居てもらって、日韓を安心させておいて、米中で安全保障関係をつくっていくのが中国の理想でしょう。

――「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に中国が強く反発しています。

小原氏 THAADミサイル自体が脅威ではなく、ユニットを構成するレーダーによって中国の国内が読まれることへの反発です。一方で、中国指導部にとっては「この地域のバランスを崩しているのは米国だ」といういい口実になったと思います。これでバランスを回復するために北朝鮮を支援するのだといったような自分勝手な口実です。

――最近、宮古海峡を中国の航空機8機が通過したことが報道されました。目的は。

小原氏 日米に対するけん制であることは間違いありません。東シナ海、西太平洋まで航空優勢を取る実力があることを示したいのでしょう。その中にグアムの米軍基地も含まれています。

 今回確認された爆撃機H─6K、これは巡航ミサイルDF─10が搭載できますが、これでグアムの空軍基地はいつでも攻撃できるということです。宮古と沖縄の間を抜けていくということは中国空軍の活動を太平洋まで押し出してくるという意味です。

 こうした爆撃機が長距離を飛んで爆撃する訓練は、これまでもやっています。今回の特徴はこれだけの機数を使って、この空域の航空優勢を示そうとしたということです。中国軍が常に活動していることを示したいのだと思います。

――自衛隊のF35戦闘機が配備されれば、地域情勢が変化しますか。

小原氏 象徴的なことだと思います。南西諸島は現在のF15で十分でしょう。とはいえ、実際に戦闘力が高いということなので、中国に軍事衝突を避けたいと思わせる効果はあります。米国と衝突したら負けてしまうので、優勢を高めつつ日米と衝突しないよう常に考えるということです。

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