トランプ氏当選と中国――尖閣問題は?
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月10日 16時35分
その中で、たとえばシリコンバレーがIT(Integrated Circuit、集積回路)をIndian Chinese(IT)に置き換えて皮肉るほど、白人の割合が少なくなっているのは、90年代半ばに観察してきたし、また9月20日に『毛沢東 日本軍と共謀した男』に関してワシントンD.C.にスピーチに行ったとき、ホテルの窓から見下ろす光景を見たときにハッとした。ほとんどが有色人種で、白人はまばらにしか見えず、「私はいま、どの国に来ているんだろう」とさえ感じたし、街を歩いたときに見た白人が、みすぼらしい恰好をしているのが気になったからだ。いわゆるpoor white(貧しい白人層)が増えているアメリカにおいて、中国の廉価な製品や人件費に押されて「白人が貧乏になっていく」ことは、アメリカ人にとって許しがたいことだろうし、これでは「ある意味の階級闘争がアメリカで起きるのではないか」という概念さえ、頭をもたげたものだ。だからトランプ氏が当選する可能性が高いと筆者は思っていたのである。
これに関しては、中国の戦略的移民と、中国内における「少数民族の漢民族化戦略」という視点で、またいつか考察を試みたい。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
≪この筆者の記事一覧はこちら≫
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
この記事に関連するニュース
-
ルビオ次期国務長官を注視しよう(下)安倍首相の靖国参拝への支持
Japan In-depth / 2024年11月24日 19時0分
-
中谷防衛相、中国軍の活動に懸念 領空侵犯の再発防止を要求
共同通信 / 2024年11月21日 21時59分
-
APEC首脳会議の習近平主席「トランプ氏再登場」を意識した言動目立つ
RKB毎日放送 / 2024年11月18日 14時57分
-
日中、早期の外相相互訪問を調整 石破首相、習近平主席と初会談
共同通信 / 2024年11月16日 16時55分
-
米次期大統領にトランプ氏が返り咲き、「米国第一」、固唾をのんで見守る東アジア各国
Record China / 2024年11月7日 16時0分
ランキング
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください