「乱暴な言葉を発すると、ヒトの力が強くなる」、研究結果を発表
ニューズウィーク日本版 / 2017年5月12日 12時0分
<英キール大学の研究者が、「乱暴な言葉を口にすることで、人間のパワーをより強くすることができる」という研究結果を発表した>
いわずもがな、日常生活において"ちくしょう"や"くそったれ"といった乱暴な言葉遣いは避けるべきだが、時として、このような言葉が私たちの力を強くしてくれる可能性があるそうだ。
英キール大学のリチャード・ステファンズ博士は、2017年5月5日、英国心理学協会の年次会議において「乱暴な言葉を口にすることで、人間のパワーをより強くすることができる」との研究結果を発表した。
痛みへの耐性、運動強度や握力で実験
ステファンズ博士らによる研究プロジェクトでは、被験者29名によるサイクリングテストと被験者52名による握力テストを実施。いずれも、乱暴な言葉を発した場合とそうでない場合でテストを行い、結果を比較したところ、乱暴な言葉を発した場合のほうが、より高い数値を記録した。
これらのテストは、ステファンズ博士が2009年に発表した「乱暴な言葉を発した場合のほうが、そうでない場合よりも、氷水に手を浸したときの痛みに耐えやすい」との研究結果をもとに実施されたもの。乱暴な言葉遣いは、痛みへの耐性だけでなく、運動強度や握力にも何らかの作用をもたらしている可能性があるというわけだ。
その原因は...
では、その原因はいったい何なのだろうか。研究プロジェクトでは、当初、乱暴な言葉を発することで交感神経系が刺激され、いわゆる"火事場の馬鹿力"が出て、痛みに耐えやすくなったり、力が強くなったりするのではないかと考えていた。
しかし、サイクリングテストと握力テストのいずれにおいても、乱暴な言葉を発した際、被験者の心拍数に変化はなかったことから、交感神経系が刺激を受けているとは考えにくいという。また、乱暴な言葉を口にすることで不快感や苦痛から気を紛らわせる効果があるのではないかという見方などもあるが、現時点では憶測の域を出ず、今後、さらなる研究が待たれる。
このように、乱暴な言葉遣いと私たちの力や耐性との因果関係について、いまだ十分に解明されているとはいえないが、ここぞというとき、小さな声で乱暴な言葉をつぶやいてみると、思わぬパワーが発揮できるかもしれない。
松岡由希子
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