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「日本のメスザルは性的意図でシカ相手に疑似交尾」=レスブリッジ大学研究

ニューズウィーク日本版 / 2017年12月18日 18時15分

<サルとシカの交尾はパートナー探しに困窮した結果なのか、はたまた「文化的に維持される現象」の始まりか...>

日本のサルに何やら奇妙な行動がみられる。

12月11日、カナダ・レスブリッジ大学の研究者が大阪府箕面に生息するニホンザル(以下、サル)に関する興味深いデータを発表した。タイトルは「ニホンザルからシカへの異質性的行動の定量的研究」。メスザルがシカ相手に性的目的で近づき、実際の交尾はしていないものの性的行為に及んでいるというのだ。

実は「サルとシカの交尾」は今年1月に権威のある霊長類専門学術誌プリマーテスで、鹿児島屋久島のケースが報告されている。このときはオスザルがメスジカと交尾しようとする場面が捉えられたが、サルが性的な動機で行動しているかどうか曖昧だった。

性的な目的でシカを追いかけていた

最新の調査結果は、メスザルにとって性的刺激や交尾などの性的な目的を持つ行為であることを示唆するという共同著者のノエル・グンスト准教授の見解を英ガーディアン紙が伝えている。

研究はグンストとジャン・バティスト・レカ准教授(両者ともレスブリッジ大学)などが率いる調査チームによるもので、ヒト以外の霊長類と非霊長類との間の性的作用をデータで示した初の研究。「明治の森箕面国定公園」で採取したフンのサンプルからホルモン検査を行い、行為の頻度や持続時間などを過去のデータと比較して相関関係を調べた。調査では14匹のサルとシカによる258回の行為が観察された。

5つのケースでは、サルは同一のシカを相手に10分間で3回以上行為に及んだ。このとき、サルが発する鳴き声はサル同士の交尾で聞かれるものと同じだったという。さらに嫉妬とも取れる様子も確認されている。自分の馴染みのシカに別のメスザルが乗っているのを見つけると行為を邪魔して追い払ったのだ。

一方でシカはと言うと、あまり気にしていないようだ。一部のシカは背中に乗ったサルを振り落とそうとしたが、だいたいはサルの行為に無抵抗になされるがままという具合だ。背中で行為にふけるサルを尻目に食事を続けるシカもいた。





動画後半にはいつものパートナーのシカに近づく別のサルを追い払う様子も Jean-Baptiste Leca/YouTube

「初めての性的な刺激を経験するかもしれない」

米ナショナルジオグラフィック誌によると、動物の10%に異種同士の交配(ハイブリダイズ)が確認されているという。しかしこの行為は解剖学的に似ている動物で一般的な話。今年1月のレポートによると異種間の交尾は、2014年にペンギンとの交尾を試みるオットセイの例が確認されているが、箕面のサルのようなケースはほぼない。1月に研究を発表したフランス・ストラスブール大学のセドリック・シュエール博士も「「密接に関連していない種との異種間の性的相互作用は非常に稀」と指摘している。

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