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超アナログなピンボールマシンが大復活

ニューズウィーク日本版 / 2018年10月23日 17時0分

<スマホ画面では経験できないリアルな感触でアーケードゲームの花形マシンが人気沸騰中>

ここ数年、シカゴやサンフランシスコ、ブルックリンなどでふらりとバーに入ると、かなりの確率でピンボールの台を見掛けるようになった。数人で台を囲み、次々に硬貨を投入しながら作戦を相談している光景に、80年代に迷い込んだような気分になる。

国際フリッパー・ピンボール連盟(IFPA)によると、世界各地で開催される大会の数は09~17年で10倍に増え、参加者数も1万2527人から11万5655人に急増した。アメリカだけでなく、オーストラリアをはじめさまざまな国でブームになっていると、IFPAのジョシュ・シャープ会長は言う。

とはいえ、ポケットから取り出したスマートフォンの画面を指でなぞれば、似たようなゲームを無料で楽しめる今の時代、人々は古風なゲーム機のどこに魅了されるのだろうか。

ジョシュの弟で、ピンボール台の老舗メーカー、スターンのマーケティング責任者を務めるザック・シャープは、スマホやテレビゲームの反動で、より現実感のある機械仕掛けの娯楽の人気が高まっているのだろうと語る。「デジタルでは再現できないエンターテインメントだ。

ピンボールの台を触って楽しむ感覚は、テレビゲームじゃ経験できない」ピンボールのアナログ感は、テレビゲームが台頭した90年代には特別なものではなかったが、現代のデジタル社会では新鮮な感動だと、ジョシュは言う。

台の売り上げや大会の数が増えている背景には「バーケード」スタイルの流行もあると、ザックはみる。「バー」で酒を飲みながらレトロな「アーケードゲーム」を楽しむ店に、昔ながらのゲーム機やピンボール台が並んでいる。ザックによると、スターンの売り上げは15~16年、16~17年と2年連続で40%増を記録した。

バーの経営者にとってピンボールの台は魅力的な投資だと、ジャージー・ジャック・ピンボールの創業者ジャック・グアルニエリは言う。ゲームの利用料が入るだけでなく、常連客がついて、しかもピンボール台は中古市場で値崩れしにくい。

ジャージー・ジャック・ピンボールは、台の近代化に力を入れている。大きなスピーカーから音楽が流れ、大型のデジタル画面にはおしゃれな映像。ブルートゥースなど最新テクノロジーも導入している。気付いていなかったが、実はこんな機能が欲しかったのだと思わせる「スティーブ・ジョブズ流」のデザイン戦略だと、グアルニエリは言う。

グアルニエリは経営だけでなく、小児科病院にピンボール台を寄付したり、世界各地の大会を後援して賞金を提供することにも力を入れている。「このやり方がピンボール流だ」



[2018.10.23号掲載]
ボブ・フェケテ

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