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ホルムズ海峡のそばで石油タンカーに攻撃

ニューズウィーク日本版 / 2019年5月14日 17時45分

<アメリカとイランの緊張が高まるなか、要衝・ホルムズ海峡のそばでアメリカの同盟国サウジアラビアなどのタンカーが損傷を受けた。イランがやったのか?>

サウジアラビアの石油タンカー2隻が5月12日、アラブ首長国連邦(UAE)の沖合で妨害を受ける事件が起きた。こうした行為が横行すれば、世界全体への石油供給が危うくなる可能性があるとサウジアラビアは警告した。

アメリカおよびその同盟国とイランとの対立によって中東地域の緊張が高まるなか、UAE東部のフジャイラ首長国の沖合で2隻のタンカーが損傷を負ったことを、サウジアラビア外務省が5月13日に発表した。

サウジアラビアのエネルギー相、ハリド・ファリハは、2隻のタンカーが「妨害を目的とした攻撃」の標的となり、「船の構造に深刻な打撃を受けた」と述べた。2隻のうち1隻は、サウジアラビアの港に向けて航行中で、そこで原油を積んでアメリカに輸送する予定だったという。「幸い、死傷者はおらず、原油流出も起こらなかった」

CNNの報道によれば、この妨害行為は、「航行の自由と全世界への石油の安全供給を妨げる」ことが目的だとファリハは主張している。

サウジアラビア外務省は国営サウジ通信社(SPA)を通じた声明で、この事件を「犯罪行為」と呼び、「海上交通の安全と安心に深刻な脅威をもたらすものであり、中東地域ならびに国際的な平和と安全にマイナスの影響を与える」と述べた。さらにサウジアラビアは、UAEが自国の安全と国益を守るために講じるあらゆる手段を支持することを表明した。

米軍が追加配備したばかり

サウジアラビアの発表に先立ち、UAE当局は5月12日、合計4隻の船舶が攻撃を受けたと発表していた。関与したのが誰なのかという詳細は明らかにしなかった。また、レバノンの衛星放送局アルマヤディーンは、5月12日午前にフジャイラ港で爆発が発生して石油タンカー7隻が被害を受けたと報じたが、UAE側はこれを否定。UAEの国営首長国通信は、「港は通常どおりに操業している」と述べた。


UAE沖で何らかの攻撃を受けたタンカー。船体に穴が開いているのが見える


これらの事件の直前にはアメリカが、中東を航行する船舶に対してイランとその代理組織が攻撃を計画している可能性があると警告を発していた。5月5日には、トランプ大統領補佐官のジョン・ボルトン(国家安全保障問題担当)が、アメリカとその同盟国の国益を脅かさないようイランをけん制して、空母打撃群と戦略爆撃機B-52を中東に配備すると発表していた。

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