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幻冬舎・見城徹が語った『日本国紀』、データが示す固定ファン――特集・百田尚樹現象(2)

ニューズウィーク日本版 / 2019年6月27日 17時0分

――初版から指摘を受けるたびに、明示することなく修正していることが問題視されている。

「この程度の修正はよくあることでしょ。校正をいくら重ねても出てしまうもので、版を重ねて修正するのはどの本でも当たり前のようにあること。うちの本にも、他社の本にもありますよ。今の修正なら、僕の判断で(正誤表は)必要ない、と決めました」

高部──「校正について言えば、普通の本の3倍以上はやっています。通史で全部のファクトを細かくチェックしていけば、校正だけで5年はかかります。監修者の協力も得て、一般書としての最高レベルでやりました。それでもミスは出てしまう。それは認めるしかありません」

――ウィキペディアからのコピペ、他文献からの盗用があったのではないかという指摘についても幻冬舎から反論や見解を出していない。

「こちらにやましいことは一切ない。ある全国紙から何度も、コピペ問題について取材依頼が来ましたが、応じるまでもなく、どうぞ好きに書いてくださいというのがこちらの考え。ウィキペディアを含めてさまざまな文献を調べたことは当然、あったでしょう。だけど、そこからのコピペで、これだけ多くの読者を引きつけられるものは書けない。この件も百田尚樹だから批判が出るのでしょう。安倍さんと近いとか、そんなことが大きな理由じゃないですか」



――『殉愛』についても、伺いたい。元マネジャーに対する取材は必須だったのではないか。

見城──「『殉愛』は書き方で踏み込み過ぎた。名誉毀損の訴訟で敗訴した以上、申し訳ありませんでしたと言うほかない。ここまで書くと名誉毀損に当たるかもしれない、という弁護士からの指摘もあって事前に議論はしていた。訴訟になっても百田尚樹がうちに書いてくれた作品だから最後まで守る、が結論だ」

高部──「今になって思えば、元マネジャーへも取材したほうがよかったとは思います。ただし、正当な取材ができる状態ではないという事情はありました」

だからといって、取材不足で人を不用意に傷つけることは肯定できない。そう思って口を開きかけると、見城はこちらの意図を察したように言葉を重ねてきた。

「名誉毀損については申し訳なかったが、出すべきだと判断したということです。これ以上言うことはない。僕は作家の側に立つ。危険だからやめようと言うことはできた。でも、作家が熱を込めて書いたもの。うちのために書いてくれたのだから訴訟に負けても、作家の側に立つという決断をした」

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