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日本人は「政治に興味ない」「専門的に生きている」──外国人のお笑い座談会より

ニューズウィーク日本版 / 2019年8月6日 9時45分

パックン それを聞いただけで、僕はすごく悲しい。

ナジーブ もちろん悲しいですよ。悲しみの爆笑です。たぶん私も、今シリアが内戦になってて、日本の国籍を申請することになる。でも70歳のおじいさんになってもおそらく、日本人として認めてもらえないと思う。

パックン そういう事情をネタにできるはずなんですよ。そしてそれは許されるはずなんですよ。今日の(昼間のパックンマックンの)舞台でも話したんですけど、みんな――周さんは違うかもしれないけど――お箸上手ですねと言われる。26年日本に住んでてお箸使えないやつがいるか!と思う。

周 当たり前だよ。(お箸の使い方は)私が(日本人に)教えたようなものだよ!

(一同爆笑)



「笑わせること以外のアジェンダを持つとその分面白くなくなる」

パックン 実体験として、外国人の顔だから日本人と認めてもらえないというネタは、おそらくできる。でも、もっと普通に、今日起きた政治の話をネタにできないのはなぜなんだ、と。社会情勢、世界情勢を笑いにする人が日本になんでいないんだって、不思議に思うんですよ。

チャド それを不思議に思わない理由、2つあります。一般的な日本人が政治に興味あったら(芸人が)勝手にやってる。つまり、政治に興味がない。興味ある人はもちろんいるけど、マスではないんやろなと。

もう1つは、芸人からすると、そこに手を出すリスクというか、アーティストのつもりでやってるのに、社会を変えようとか、笑わせること以外のアジェンダを持つとその分だけ面白くなくなってしまう。こっちのほうが大きな理由。興味があるし時事ネタもできる芸人いっぱいいるんですけれど、お笑いという本業になると、政治ネタをやらないほうにロマンを感じるんです。

パックン なるほど。

編集者 もしオーストラリアでお笑い芸人をやっていたとしても同じ?

チャド ガチで言うと、変えていこうと思っている。オーストラリアに行って、お前らやってること、まだまだやぞと。僕は日本のお笑いが世界で一番ダントツに進んでると思ってます。

パックン 日本のお笑いに学べと。

ナジーブ 私も(日本に政治ネタがないことが)不思議じゃないと思っている理由があります。日本人は専門的に生きています。

パックン ほぉ、それぞれが専門家ということ?

ナジーブ もしもシリアで電気屋さんに行って水道のことを頼んだら、絶対「できるぞ」と言う。でも(日本の)家の近所のベーカリーで、バゲットがないので尋ねたら「うちはバゲットはやってない」と自慢げに言うんですよ。パン屋さんなのにバゲットを売らない。バゲットを否定するわけじゃないが、専門の狭さをアピールする。

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