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日本の「分断」を追う10年プロジェクト始動──第1回調査で垣間見えた日米の差異

ニューズウィーク日本版 / 2024年1月31日 17時0分

まず、「自国はトップレベルか」「自国の歴史を誇りに思うか」の賛成率をみると、日本、米国ともに、保守層のほうが高くなっている(図表10、11)。

続いて、民主主義に関する問いをみてみよう(図表12)。日本において、「自国は民主的に統治されている」とみている人の割合をみると、保守層がリベラル層よりも高い。一方、米国の調査で、「米国の民主主義は現在、脅かされていない」とみる人の割合は、保守、リベラル、無党派とも、ほぼ同じである。

日本ではリベラル層でも、60%以上の人が「民主的に統治されている」とみているのに対して、米国では、党派を問わず、全体的に、「民主主義が脅かされている」と感じている人が非常に多いのが印象的だ。

ただ、日本の設問は「全く民主的でない」を1、「完全に民主的である」を10とした10段階評価で、6〜10と答えた人の合計を、「民主的に統治されている」に賛成している、とみなしたものだ。米側は、「アメリカの民主主義は現在、脅かされていない」と考えている人の割合なので、回答の割合を、単純に比較はできない。

日本側の回答で、8〜10と答えた人(かなり高い程度で民主的だと思っている人)に限れば、リベラル層で32%、中間層で25%、保守層で45%となり、「6〜10」の人の割合に比べて、かなり下がってくる。

また、「(国や政治が)誤った方向に進んでいる」と心配している人は、日本ではリベラル層に多く、米国では保守層に多いという特徴がみられた(図表13)。これは、調査時点で、日本では、自民党政権(保守寄りの政権)、米国では民主党政権(リベラル政権)であるために、このような結果になった面が強いとみられる。

マスメディアへの信頼とイデオロギー軸、日米で大きな差

最後に、マスメディアについて日米比較をしたい。まず、マスメディアに対する信頼度についてである。この設問は、日本のSMPP調査の設問を、米国のギャラップ社の信頼度調査の設問にあわせた(比較しやすいよう、ギャラップ社の設問を直訳した)。

「ニュースを十分かつ正確、公平に報道するという点において、あなたは新聞、テレビ、ラジオといったマスメディアを信頼していますか」という問いに対して、日本では「信頼している」(「とても信頼している」と「まあ信頼している」の合計)と答えたのは、リベラル、中間、保守ともに、70%前後だった。

これに対して、米ギャラップ社調査(2022年)で「信頼している」(「Great deal」と「Fair amount」の合計)と答えたのは、民主党支持層に限れば70%と高いが、無党派層では27%、共和党支持層では14%と、大きな差がある(図表14。2023年9月の調査では民主党支持層で58%・共和党支持層で11%までそれぞれ下落)。

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