「株式会社ハマス」の時価総額は5億ドル超、世界各地の系列企業の資金網がガザを支える
ニューズウィーク日本版 / 2024年2月9日 10時36分
同グループが09年にスーダン政府と、スーダン~エジプト間の幹線道路の建設と運営を請け負う40年契約を結んだ際に、そのプロジェクトの受け皿として設立されたのがアグロゲートだ。
一方でアルルワドは、米財務省によると、スーダンを拠点とする複数のハマス系企業が合併して10年に誕生した。
米財務省によれば、カフィシェはこの会社でも「雇用と解雇に関する決定権を持ち、同社の財務にも関与」していた。
■スペイン
ハマスのグローバルな資金調達網は拡大を続けている。
次なる拠点は、どうやらスペインらしい。
スーダンを拠点とする大富豪ハイルはスペインに「ザワヤ・グループ開発投資」なる企業を設立している。
ただしこの会社も、昨年10月に米政府の制裁対象となった。
ハマスはなぜ、ヨーロッパにまで進出しようとするのか。
中東では監視の目が厳しく、動きにくいという事情があるのかもしれない。
◇ ◇ ◇
ハマス系の企業がはびこる背景には、いわゆるパレスチナ人の「大義」に共鳴する世論がありそうだ。
英オックスフォード大学の研究員ティモシー・ウィティグによれば、ハマスは自分たちを支持する有力者のいる国を探して、そこに建設・不動産関係の会社を設立している。
テロ活動の資金調達では「彼らの『大義』に共鳴する実業家や政治家、地元の有力者が互恵的な形の資金援助を申し出る」例が多々あるとウィティグは言う。
「イスラム主義の運動では昔からあることだ。ブラックリストに載せられた組織に金銭的な生命線を提供し、彼らの系列企業に小さいながらも収益性の高い市場での特権的地位を与え、もちろんそれなりの見返りを期待するわけだ」
ウィティグによれば、ハマスの集金ネットワークが機能している国では「政府による暗黙かつ間接的な支援」もありそうだ。
ハマスを表立って支援すれば国際社会で孤立し、下手をすれば制裁を食らいかねないが、とウィティグは言う。
「国内でハマスが商売をして稼ぐのを容認するだけならメンツを保てるし、運がよければ一定の分け前にもあずかれる」
<本誌2024年2月13日号掲載>
ショーン・オドリスコル(犯罪捜査担当)
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