「株式会社ハマス」の時価総額は5億ドル超、世界各地の系列企業の資金網がガザを支える
ニューズウィーク日本版 / 2024年2月9日 10時36分
トレンドGYOとハマスの関係を隠蔽する役目を果たしている人物には、ガザ地区のハマス指導部と密接な関係にある元自爆テロ・コーディネーターのムサ・ドゥディンもいる。
ドゥディンは終身刑で収監されていたが、11年の捕虜交換(拉致されたイスラエル兵とパレスチナ人収監者1027人の交換)で自由の身となった。
米財務省は、ドゥディンが他人に株式を譲渡することで、ハマスの関与を隠蔽しようとしていたと指摘している。
23年10月18日にドゥディンとトレンドGYO関連の幹部数人に対する制裁を発表した際の報道発表によれば、「ドゥディンはヨルダン川西岸を拠点とするハマス政治局のメンバーで、投資部門の職員であり、獄中のハマス戦闘員らの解放交渉も担当している。公の場でハマスを代表して発言してもいる」。
ハマスの指導者、ヤヒヤ・シンワール(壇上前列右から2人目) LAURENT VAN DER STOCKT/GETTY IMAGES
「ドゥディンは、所有権を第三者に移すことでトレンドGYOとハマスとの継続的関係の隠蔽を図った。また(ガザ地区の政治部門トップの)ヤヒヤ・シンワールとも直接的な協力関係にある」との指摘もある。
さらにドゥディンは「以前にハマス政治部門幹部サレハ・アル・アルーリから数万ドルを受け取っており、ドゥディンはこれらの資金を使ってハマスのために武器を購入し、それがテロ攻撃に使われ、イスラエル兵に死をもたらしている」という。
なおアメリカは15年8月27日にシンワールを、同年9月10日にアルーリを制裁対象にしている(アルーリは今年1月2日、レバノンの首都ベイルートで何者かに殺害された)。
米財務省はトレンドGYOをアメリカの制裁リストに加えるに当たり、同社を「ハマスの投資ポートフォリオの一部」で、「かつて5億ドル以上と見積もられていたハマスの海外資産の重要な構成要素」と認定した。
当時トレンドGYOの会長を務めていたイエメンの大富豪ハミド・アル・アフマルはアメリカの制裁リストに載っていないが、同社の18年の公募増資書類には、ハマスの隠れ蓑としてアメリカの制裁リスト入りしているレバノンの組織アル・クドゥス国際財団の理事長と記載されている。
またアフマルはハマス支持を公然と口にしている。
本誌はトレンドGYOがトルコ財務省に提出した書類を精査し、株式の所有者に変化があることを発見した。
23年9月30日付で提出されたトレンドGYOの直近の財務報告によると、22年末には45.74%だった公開株が55.4%に増加している。
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