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米海軍、ミサイル防衛で大きく前進 海上での弾道ミサイル迎撃は対北朝鮮にも威力

ニューズウィーク日本版 / 2024年4月4日 17時21分

新型ミサイルは米軍艦船に配備され、飛んでくる弾道ミサイルを撃ち落とす(写真は3月30日、フィリピン海で演習に参加する米海軍のミサイル駆逐艦「ラルフ・ジョンソン」) US Navy/Liddell

<駆逐艦から発射されたSM6は標的の弾道ミサイルを飛行の最終段階で破壊した>

米海軍は先週、最先端のミサイルシステムの実射試験を実施し、海上での弾道ミサイル迎撃にこのシステムが威力を発揮することを確認した。テスト成功は「海上防衛の画期的な前進」だと米軍のニュースサイト・特殊作戦部隊報告書(SOFREP)が伝えた。

【動画】極超音速ミサイル「ツィルコン」の艦上発射実験

テストが行われたのは3月29日。米海軍は米防衛大手レイセオン製のスタンダードミサイル(SM)6の改良型の「海上試験で、標的である中距離弾道ミサイルの迎撃に成功」し、「意義深い里程標」を打ち立てたと、SOFREPが4月3日に報告した。

SM6は米軍が既に10年余り前から配備している艦対空迎撃ミサイルだが、このミサイルは最近ソフトウェアが更新され、レイセオンによれば、性能が大幅に向上した。

1基で3役

試験後にレイセオンは改良型SM6が弾道ミサイルを飛行の最終段階で迎撃したことを確認。SOFREPによると、落下軌道を描いて着弾する前のこの段階での迎撃は「最も難度が高い」という。

SM6は改良前から高度な防衛兵器と見なされていた。対空、対地、さらには弾道ミサイル防衛に使えるため、「1基で3役を兼ねるミサイル」とも呼ばれる。

SOFREPが説明しているように、SM6を搭載した米海軍の艦船は「水平線を越える重要な攻撃・防衛能力」を持つ、つまり「かなり遠くに位置する敵対的な航空機、艦船、弾道ミサイルを迎撃できる」という。

レイセオンによると、SM6は3つの機能を1つのパッケージに収めているため、コスト効率の点でも米国防総省にとって望ましい防衛兵器となる。

3月29日のテストは、ハワイのカウアイ島にある米軍の太平洋ミサイル試射場で実施され、SM6は米海軍のミサイル駆逐艦「プレブル」から発射された。

「このテストで、最新版のSM6と戦闘システムが、高度なミサイルの脅威を取り除く能力を持つことが実証できた」と、レイセオン・ネーバル・パワーのキム・アーゼン社長は声明で述べた。「進化する脅威よりも常に一歩も二歩も先を行く技術水準を保ち、その技術を活用した兵器が可及的速やかに実戦配備されるよう、レイセオンは引き続き全力を尽くす」

SOFREPは、「米海軍とその同盟軍が現代の弾道ミサイルの脅威に対抗するために必要な火力を保有することを担保する重要な一歩」として、今回の試験を評価している。「進行中の開発とSM6の試験の成功で、現代の海軍防衛の礎石としてのこのシステムの位置付けは強化される」

今回のテストは、海外に駐留する米軍に対する脅威が増大するなかで実施された。中東における脅威だけではない。西太平洋でも北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験を繰り返している。4月2日に発射したミサイルは理論上、太平洋における米軍の重要な拠点である米領グアムを射程圏内に収めている。



ジョン・ジャクソン

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