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「劇場型政治家」小池百合子の限界...頼れる誰かに擦り寄る力と「丸のみ」にした3つの政策

ニューズウィーク日本版 / 2024年7月5日 17時18分

「内藤さんは以前から自分の思うところを率直に述べる人で、だからこそ都庁では上にも下にも信頼されてきた。でも小池さんは率直に諫言する役人を嫌うんです。それを知ってか知らずか、知事お気に入りの副知事が、彼を外して彼の部下と一緒に知事に決裁を取るので、内藤さんは仕事がしづらくなって身を退(ひ)いた」

別のOBはこう補った。

「小池さんは人事に好みを積極的に言う人です。しかも副知事や局長ならまだしも、課長級までも」

任期中の首長は行政を任されている以上、人事を通じて施策を実現することは当然でもある。石原都政でも、知事の意に沿わない幹部を異動させることはしばしばあった。だが、小池人事の苛烈さは石原のそれをしのぐ、と前出のOBが続ける。

「石原さんの場合、気に食わない幹部が目の前から消えればそれで終わり。知事とソリが合わなくても一生懸命にやっている職員というのはいますから、組織内で知恵を働かせて〈知事から遠いが良いポスト〉に就けた。そうでもしないと、物言わぬ職員ばかりになりますから。ところが小池さんの場合は、〈ちゃんと降格になってるの?〉とばかりに異動先がどこかまで追いかけて確認してくるんで、そういうことができなくなったのです」

6月12日に取材に応じた乙武は、小池は都民ファ都議から好かれていると証言 HAJIME KIMURA FOR NEWSWEEK JAPAN

「のり弁」やめますの嘘

私たちは、人事を通じた過度な官庁支配が、信じ難いスキャンダルを生んだ前例を知っている。財務省近畿財務局が国有地を相場の10分の1で払い下げた森友学園問題だ。

この問題で財務省の佐川宣寿理財局長(当時)は「記録は残っていない」と嘘をつき、その答弁に合わせて学園側との交渉記録の存在を否定したり、記録の改ざんを行った。

内閣人事局を通じた人事権行使をやりまくったために、官僚が萎縮したばかりか、平気で国益に反する行動を取るようになったのだ。小池都政も、もはやその領域に突入している可能性がある、と私は危惧する。

都民ファ最初の都議選の公約は、情報公開の「のり弁(黒塗り)をやめます」だった。

だがその投開票日の3日後、豊洲市場への移転延期で支払われた移転補償金にまつわる公開請求で、私はほぼ全て黒塗りの文書を受け取った。豊洲移転を延期しただけ無駄だったと受け取られる、と職員が忖度したのだろうか。

6年後の23年3月には、そんな疑念がより深刻になった。

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