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「劇場型政治家」小池百合子の限界...頼れる誰かに擦り寄る力と「丸のみ」にした3つの政策

ニューズウィーク日本版 / 2024年7月5日 17時18分

さらに無償化で受験生の私学志向が強まることは間違いない。人口減少と相まって、都立では上位の進学校でさえ5、6年後の定員割れが予測されている。

明治から戦後の復興期にかけて、日本は私立と公立を車の両輪にすることで、急増する進学需要と高い教育レベルを両立させてきた。だが定員割れで都立の統廃合が加速すれば、僻地から順に都立校が消え、選択肢の幅は大きく減ることになる。

小池と公明の蜜月のレガシーが、東京都の教育レガシーを崩壊させるなど笑えない冗談ではないか。

20年知事選で、自民党は独自候補の擁立を断念。小池が圧勝したのは前述のとおりだが、同時に行われた4つの都議補選で自民党が全勝し、小池と自民党の双方ウィンウィンの結果となった。

都民ファの候補の応援をせず、いわば部下を見捨てて得たこの結果に、小池は深い満足の表情を浮かべていたそうだ。

権力維持のためには臨機応変に姿を変える(写真は6月20日、出発式で支援者と) SOICHIRO KORIYAMA FOR NEWSWEEK JAPAN

知事選後、都議会自民党の都議は「是々非々の姿勢は変わらない」と発言していたが、小池に「軍鶏のけんか」を仕掛けなくなった。小池は議会に安定を想定し得る、「普通の都知事の権力」を獲得したのだ。

それによって何が起きたか。第3の政策として東京メトロ有楽町線・南北線の延伸プロジェクトの例に触れておこう。

マンション開発が進む臨海部の豊洲と、東京スカイツリーにも近い住吉を結ぶこの延伸計画を今年5月、都の都市計画審議会が承認した。建設費は1420億円。開業すれば副都心線の08年以来という久しぶりの大型地下鉄建設だ。

この延伸は元江東区長、山﨑孝明(23年4月に急死)の悲願だった。山﨑は、自民党の区議や都議を経て区長を4期務め、23区長会長に上り詰めた実力者。元首相の森喜朗に近く、息子も自民党都連幹部だった。

20年知事選を控えた19年10月、山﨑と面会した小池は「全力で取り組んでいきたい」と熱弁。小池再選後の21年の協議で、都が年来の主張であったメトロと都営の一体化を求めないと明言したことがきっかけで、メトロも都などの補助を前提に消極姿勢から建設容認に転じた。

小池にとっては山﨑の要望に応えたことになるが、大きな方針転換ではあった。

これまで東京都はメトロ株の47%を保有することによって、潤沢なキャッシュフローを誇るメトロに影響力を及ぼし、路線の整備や地上出口エレベータなど環境整備を促すことができた。

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