1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 映画

「後輩を誘い2人だけ残って稽古」はNG? 演劇界「ハラスメント勉強会」が突き付ける根源的な問い

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月5日 16時0分

現在、ミックスゾーンではプロデュース公演を行う際には村上も含めた各プロデューサーが公演の稽古開始を前にハラスメント勉強会を実施しているという。果たして勉強会を受けることで、実際の稽古場や舞台に変化は出るものなのか?

「みんなで集まって、その話をしたかどうかということで、その座組の雰囲気はやっぱり変わります。私が2022年にKAAT神奈川芸術劇場で制作、上演した『夜の女たち』では、実際ハラスメント勉強を行うことはなかったのですが(*)、劇場の総責任者である眞野純館長に『ハラスメントに気をつけて取り組む現場にします』と稽古開始の日に全体に話してもらいました。しっかりやりますよと宣言したことで、若手俳優の方含めて皆さんも、ホッとしたように見えました。『嫌なことは嫌と言っていいんだ』という安心した空気になりました。1度にガラッと環境を変えるのはなかなか難しいと思うので、ちょっとずつハラスメントをなくしていく、という意識を座組で持つことですね」

*KAAT神奈川芸術劇場では2023年10月にハラスメントについてのガイドラインを策定、ハラスメント相談窓口を整備して運用し、その後に講習も実施されている。

古元道広(ふるもと・みちひろ) 舞台芸術団体で国内公演の他、のべ13カ国31都市でのツアー等を制作。その後はフリーで公演制作や舞台写真撮影、理事を務める舞台芸術制作者オープンネットワークで舞台芸術の持続的な創造活動に関する連続講座を手掛けている。並行して、ハラスメント予防とリスペクトについての勉強会を劇団や劇場、制作会社、芸能事務所等で実施している。上級ハラスメントマネージャー。 HISAKO KAWASAKI-NEWSWEEK JAPAN

冒頭の劇団昴、またミックスゾーンの公演でも勉強会の講師を務めた古元は、もともと舞台関係の制作者として長年活動、文化庁の海外研修制度で1年間ニューヨークの劇場等で学んだことなどが契機となって、舞台制作の環境改善に積極的に取り組むようになった。

現在はフリーランスの制作者として活動する傍ら、22年6月からはハラスメントについての勉強会の講師を務めている。勉強会を始めた理由や、開催したことの意義について聞いた。

──古元さん自身、勉強会を始めるようになる以前はハラスメントについてどういう認識でした?

「正直、意識は低かったと思います。理不尽に繰り返される千本ノックみたいな稽古が行われることや、ギャラが拘束や仕事量に見合わないような経済的な理由で舞台の活動を続けられなくなるのは、才能がなくてふるいにかけられるのとは違う。でも、そういうことに対して鈍感になっていたと思います」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください