1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 映画

『レ・ミゼラブル』の楽曲を「歩格」で見てみると...楽譜と歌詞に織り込まれた「キャラクターの心」とは?

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月10日 17時26分

つまり、ジャベールの居丈高な態度、囚人を人間として見くだした口調が、ここにあらわれている。4音(音楽用語で完全4度)上がり、正しいリズムを強調するかのような囚人たちの"Look down"の旋律とはまさしく対極にある。

じつは、音楽のうえだけでも、すでにわたしたちには囚人と官憲、どちらが正しいのか、という問いがつきつけられているのである。

※第1回はこちら:ミュージカルは「なぜいきなり歌うのか?」...問いの答えは、意外にもシンプルだった

[引用楽譜(浄書したものを書籍から抜粋)]
Schönberg, Claude-Michel and Herbert Kretzmer, Cameron Mackintosh Presents the Musical Sensation Les misérables piano/vocal album, London: Faber Music, c.1986.

『ミュージカルの解剖学』
 長屋晃一[著]
 春秋社[刊]

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

長屋晃一
1983年生まれ。愛知県出身。國學院大學文学部卒(考古学)。慶應義塾大学大学院文学研究科にて音楽学を学ぶ。博士課程単位取得退学。修士(芸術学)。現在、立教大学、慶應義塾大学他で非常勤講師。19世紀のイタリア・オペラにおける音楽と演出の関係、オペラ・音楽劇のドラマトゥルギーについて研究を行っている。「ヴェルディにおける音楽の「色合い」:《ドミノの復讐》の検閲をめぐる資料から」(『國學院雑誌』、2023年)、「音楽化される川端康成:歌謡曲からオペラまで」(共著『〈転生〉する川端康成』、2024年)他。また、研究に加えて、舞台やオペラの脚本も手掛けている。オペラ《ハーメルンの笛吹き男》(一柳慧作曲、田尾下哲との共同脚本、2013年)、音楽狂言『寿来爺(SUKURUJI)』(ヴァルター・ギーガー作曲、2015年)他。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください