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トランプのおかげで「プーチンの夢」が叶う?...再来するトランプ・ワールドの外交・内政・経済を徹底予測

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月17日 14時0分

第2次大戦後のヨーロッパに安定をもたらした要の存在として「史上最高に強力で成功した同盟」と評されるNATO(北大西洋条約機構)も無事ではいられない。加盟諸国を関税が襲うし、国防支出を増やさなければアメリカはおまえたちを守ってやらないという脅迫が来る。

1期目にも言っていたことだが、トランプはNATO加盟国に対する集団防衛の義務を果たす義理はないと思っている。NATOの一員でも国防予算をGDPの5%まで増やさないような国に対しては「ロシアの好きなように」させてやるとも述べた。

こうなるとトランプのロシアとの関係は反逆罪に相当するのではないかと、筆者を含めた諜報・外交のプロは考えている。

メキシコ国境で移民の強制送還を訴えるトランプ(24年) REBECCA NOBLE/GETTY IMAGES

何事もゼロサムゲームとわきまえるトランプは2国間の交渉を好む。

もしもウクライナとロシアの戦争に関して、トランプがウクライナの頭越しに、ロシアの大統領ウラジーミル・プーチンとダイレクトに交渉を始めたらどうなるか。それでもウクライナへの支援を続けるか、ロシアへの経済制裁を維持するか、欧州諸国は難しい政策判断を迫られるだろう。もともとロシア寄りのハンガリーとスロバキアは、NATOと決別する道を選ぶかもしれない。

EU(欧州連合)も結束を保つのに苦労するだろう。関税を「辞書の中で最も美しい言葉」と呼んではばからないトランプは、EU加盟国にも個別に「報復」的な関税その他の制裁を課すと脅している。

アメリカから見て「不公正」な貿易慣行や貿易収支の不均衡、さらにはデンマーク領グリーンランドの売却拒否も報復関税発動の理由となり得る。そうやって揺さぶられると、EU諸国の結束にもほころびが生じかねない。

【関連記事】トランプの「領土奪取」は暴論にあらず。グリーンランドとパナマ運河はなぜ放置できないのか

■2国間関係の「肝」は中国

2国間関係で最重要なのは中国との関係だ。既に険悪だが、さらに悪化する恐れがある。トランプはアメリカの雇用と産業を中国が「盗む」のを阻み、米中貿易の不均衡を是正するために中国からの輸入品全てに60~100%の関税を課すと豪語しているが、実際には品目ごとの取引になるだろう。

品目によって一定の輸入量は許容する可能性がある。あるいは、双方が勝利宣言できる程度の経済協定を結んで、根源的な貿易不均衡や安全保障の問題にはふたをするという選択肢もある。

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