トランプのおかげで「プーチンの夢」が叶う?...再来するトランプ・ワールドの外交・内政・経済を徹底予測
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月17日 14時0分
台頭する未来の超大国インドは、いわゆる「グローバルサウス」の旗手を自負するだろうが、現実には世界の弱小国を束ねて欧米先進国や中国、ロシアとの交渉で有利な立場を確保しようとする一方、既存の国際機関のもたらす恩恵には「ただ乗り」を続けることになろう。
トルコやサウジアラビアのような地域大国は、ひたすら自国の利益を追求しつつ、中東以外の地域への影響力拡大を模索することになる。
世界の弱小国や貧困国の一部には、人権や民主主義に関する国際規範を気にしないトランプを歓迎する国もあるだろう。しかし今の国際社会が小国に与えている不完全ながらも現実的な保護や支援が失われることになれば、誰もが傷つく。
こうした傾向は2000年頃から見られるが、トランプはこれを加速させる。1945年以降のどの時期よりも力こそが正義となり、国際社会はより冷淡かつ残忍になる。
■減税すれば赤字は増える
私がみるに、トランプの言動は全て注目を集めたい一心から出ている。特段の主義や主張は持たないながら、内政面では共和党の保守的な政策をどんどん取り込んでいる。共和党なくして彼の権力はないからだ。結果、トランプの国内政策は明快だが支離滅裂なものになっている。
選挙戦では、もっぱら不法移民の問題を訴えた。「国家非常事態を宣言し、軍隊を動員してでもバイデン時代の移民の侵略を止め、(何百万もの不法移民を)ごっそり強制送還する」とも約束した。
彼らを追い出せばアメリカの労働者が抱える社会・経済的ストレスは軽減されるとトランプは信じている。だが現実には、そういう移民こそがアメリカに必要な労働力を提供し、経済を支えてきたのだ。
【関連記事】■次期トランプ政権は不法移民の強制送還で自分の首を絞める
トランプと共和党は減税と財政赤字の削減、そして経済成長の妨げとなる規制の緩和を公約している。だがトランプの求める減税を実行すれば財政赤字はさらに4兆ドル以上も積み上がるはずで、共和党が最優先課題とする財政赤字の削減には明らかに逆行する。
そもそも1期目のトランプ政権の減税だけで連邦政府の債務は40%(金額では8兆ドル以上)も膨れ上がった。しかも減税による恩恵の83%を得たのは、全世帯の1%にすぎない最富裕層だ。
トランプが万能薬と信ずる関税も、事実上は新たな連邦レベルの消費税に等しく、物価上昇で国民に年間1700ドル程度の新たな負担を強いることになるという。経済学をかじった人なら知っているはずだが、輸入品にかかる関税を払うのは国内の消費者であり、外国にいる生産者ではない。
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