トランプのおかげで「プーチンの夢」が叶う?...再来するトランプ・ワールドの外交・内政・経済を徹底予測
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月17日 14時0分
「雇用を奪う膨大な数の規制を削減する準備を進めている。新しい規制を1つ定めるごとに10個の古い規制を撤廃する」。トランプはそう言っているが、トランプ政権1期目の実績を見ると、確かに規制の増加ペースは落ちていたが、それでも撤廃した数の2倍の新たな規制が導入されている。
工業部門に対する排ガス規制を緩和すれば企業は潤うが、住民の健康被害が増えて医療費が膨らむ。それでいいのか? いずれにせよ規制緩和は難しい仕事であり、その効果はゆっくりと、漸進的にしか表れてこないものだ。
ともあれトランプには排外的で保護主義的・孤立主義的な道しかない。そして自分に服従しない者は容赦しない。アメリカ政治の分断は進み、もっと麻痺していく。絆はどんどん薄れていく。
客観的な事実は偽情報の洪水に溺れ、公的機関や民主主義への信頼は溶け落ちる。それでもトランプはこうしてこそ「アメリカを再び偉大に」できると叫び続けるだろう。
あの日、トランプ勝利の一報を聞きながらハノイのホテル・メトロポールで飲んだワインは、少し軽めだが優しく、まろやかだった。
あれは70年前の夢破れたアメリカ人にささげるエレジーだったのか、それとも今の私たちは諦めずに戦い続け、いつの日か本当に「アメリカを再び偉大に」してみせるという苦い決意の味だったのだろうか。
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