朴槿恵前大統領の実刑確定~なぜ韓国では大統領がまともに引退できないのか
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年1月16日 11時45分
韓国の朴槿恵大統領(韓国・ソウル)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月15日放送)に内閣官房参与で外交評論家の宮家邦彦が出演。韓国の朴槿恵前大統領に懲役20年の実刑が確定したニュースについて解説した。
懲役20年の実刑が確定した韓国・朴槿恵前大統領
収賄などの罪に問われた韓国の朴槿恵前大統領に14日、懲役20年の実刑が確定した。前任の李明博元大統領に続き、長期の服役となる。韓国の政界では2022年3月の大統領選を見据えて、早くも赦免、恩赦の是非が議論されているということだ。
飯田)朴さんは懲役20年、いま68歳でいらっしゃるということですので、88歳までですか。
まともに引退した大統領がいない韓国~健全な政治の姿ではない
宮家)私と同じ歳ですからね、あと20年入っているというのは普通考えられないですよ。前大統領ですよ。世の中には大統領で自分に恩赦を出す人もいるかも知れませんが、それは置いておいて、韓国の大統領の任期が5年になって、一期になってしまったので、レームダック化が激しくなっています。民主主義がうまく機能しているという言い方もあるかも知れませんが、韓国にはまともに引退した大統領がいないではないですか。捕まるか、いなくなってしまうか、どちらかでしょう。
飯田)そうですよね。
宮家)それは健全ではないですよね。やはり恩赦はやらなくてはいけないと思いますが、もう1度前大統領を安易に訴追するようなやり方を考えないといけないのではないでしょうか。こんなことをやっていて、エネルギーがすべてその政争の方に向いてしまっている。でも大統領には国民のためにやらなくてはいけないことが他にあると思います。
飯田)分断がより進むという方向に行ってしまう。
宮家)こんなことを繰り返していて、健全な民主主義が定着するのだろうかと思います。もちろん、悪いことをしたならば仕方ありません。しかし、こういうお金の問題は、日本もそうですが、透明性が大事です。政治家はお金が必要ですから、お金を献金するのは、当然なのです。政治家がお金をもらうのが、すべて悪いということではない。アメリカでも多くのお金を集めていますよ。
アメリカでは「どの業界の誰がいくら払ったか」を公表
飯田)スーパーPAC(パック)など、いろいろな方法で。
宮家)アメリカが他国と違うところは、「どの業界の誰がいくら払ったか」がすべてわかるところです。公表するわけです。お金を貰っていますから、議員も議会のなかで、特定の業界を徹底的に擁護します。お金を貰って擁護して、それを公表して、あとは選挙民が判断するのです。日本の場合、韓国の場合も同じかも知れませんが、秘密にやってしまったら、それはフェアではない。それをすべて公表して、最終的に「それがおかしいお金なのかどうかを選挙民が判断する」というのが、本来民主主義の正しい姿だと思います。そうしないと、お金を集めること、もらうことがすべてダメになってしまう。そうなれば、韓国ではみんなアウトですよ。
飯田)そうですよね。そうでなければ、もうすべて公費でと。「公務員なのか」という話になってしまいますよね。
透明性を確保するような法律をつくるべき
宮家)アメリカでは、大統領選を公費でやることもトライしたけれど、現実にはそんなに簡単ではないですよね。政治とお金の話は永遠の問題、課題ではあります。しかし、私は透明性がいちばん大事だと思います。真の透明性を確保するような法律をつくることによって、すべて曝け出して、その上で、この人はいい政治家だったのかどうかを選挙民が次の選挙で決める、というのが筋だと思います。
飯田)そういう仕組みをつくらないと、再発防止にならないですよね。ずっと繰り返されているわけですものね。
宮家)そして、怨念だけが残るわけですから、必ず次はやり返します。そうすると、この報復の連鎖は絶対に止まらないではないですか。
飯田)文在寅政権はやり返せないようにするために、検察改革とか、司法の方を改革しようとしていますね。
宮家)あれもいかがなものですかね。法治国家とはとても思えないし、その弊害というのは変なところで日本にも悪影響が出て来ています。最近も変な裁判の判決が出て来たわけですから。ということは、やはりそこは何十年か試行錯誤をやって、韓国の民主主義も見直すべきところは見直して、少し成熟して行かれたらいいのではないかと思います。
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