明石家さんまは「“人”と仕事をなさる方」 三宅恵介氏が明かす『心はロンリー』21年ぶり復活の舞台裏
ORICON NEWS / 2024年4月26日 8時0分
お笑い芸人・明石家さんまが主演を務める、27日放送のフジテレビ系ドラマ『心はロンリー 気持ちは「・・・」FINAL』(後9:00)について、総合演出を務める三宅恵介氏がこのほど取材に応じた。
【写真】さんまと長い付き合い!総合演出を務める三宅恵介氏
『心はロンリー 気持ちは「・・・」』とは、さんまが主演を務め、三宅氏をはじめとする『オレたちひょうきん族』(1981~1989年/フジテレビ系)の制作スタッフ、そして、後に『踊る大捜査線』シリーズ(1997年ほか/フジテレビ系)や『教場』シリーズ(2020年ほか/フジテレビ系)などの脚本を手がける君塚良一氏とタッグを組んで作り上げた、一大ギャグドラマ。シリアスな物語の中に、たくさんのナンセンスな笑いを散りばめた、遊び心満載の異色作として、84年から2003年にかけて、11本が制作されたヒットシリーズ。
前作から21年ぶりに復活を遂げる最新第12作が、『心はロンリー 気持ちは「・・・」FINAL』。総合演出=三宅氏、脚本=君塚氏、ギャグ考案=大岩賞介氏、藤沢めぐみ氏、杉本高文(さんま)という盤石の制作陣で届ける。今回描かれるのは、さんま演じるベテラン刑事・轟木竜二を主人公に据えた人間ドラマ。定年を間近に控え、“最後の事件”に立ち向かう轟木と、その家族の物語が情感豊かにつづられていく。轟木の一人娘役で川口春奈が、轟木の元妻の役で吉田羊が登場する。
三宅氏は、復活の経緯について「一昨年、バラエティー制作の局長だった男が系列会社に異動することになったんですが、彼は元々『ロンリー』を見て、こういう番組が作りたいとフジテレビに入社したそうで、その夢をかなえられなかったのが心残りだというんです。たとえ自分が関われなくてもいいから、『ロンリー』の新作を作ってほしい、と言われて。それをさんまさんに伝えたところ『ありがたい話だからやりましょう』と快諾を得て、話が進んでいきました。さんまさんは“人”と仕事をなさる方なので。その思いを受けて、やろうかという話になりました」と明かした。
三宅氏、君塚氏、さんま、大岩氏、藤沢氏の5人は、1984年に『心はロンリー』がスタートする前から「参宮橋金曜サークル」として、毎週金曜に集まっては「こんなことをやりたい」と話し合っていた。三宅氏が、当時をなつかしむ。「さんまさんが、まだ大阪から通いだった頃に、次第に東京での仕事も増えてきて、住むところを探そうとなって。参宮橋の物件を見つけて、そこにさんまさんが住むようになり、5人で毎週金曜日に集まって話をしていました」。
キャッチーなタイトルは、どうやって決まったのだろうか。「最初は『心はロンリー 気持ちはガンジー』というタイトルだったんです(笑)。それでつけたところが、その時にガンジーさん(インドのマハトマ・ガンジー首相)がお亡くなりになったんです。これは何か別のタイトルにしなければ、となったときに、何もないから『…』だなと。『ロンリー』という言葉は、さんまさんにありえないイメージの言葉をつけたくて。さんまさんは、心はロンリーにならないだろうなと(笑)」
それから時を経て、再び「参宮橋金曜サークル」の面々が“集結”。「さんまさんの50周年、フジテレビの65周年ということもあって、力が入って、もともとは2時間の枠だったのが、2時間40分になったんです。しかも128シーンあって、同じセットではなくて、いろんな場面が出てくるんです」と、今の時代には珍しく“豪華”な作りになっている。
大竹しのぶの出演も話題となっているが、三宅氏も撮影を振り返り、目を細める。「さんまさんは、お芝居をしていても、役を逸脱しないで、本人自身を表現できる方なんです。吉田羊さんのコメントにもあったのですが、笑いを取るシーンであっても、直後にシリアスなシーンにふっと戻ることができる。今回の設定をご覧になったらわかると思いますが、『心はロンリー』というのは、ある種、さんまさんのドキュメントドラマでもあるんです。娘さんがいて、奥さんとは別れている、だけど仲が良い(笑)。川口さん扮する娘の名前が和来なのですが、この役名をつけたのはさんまさんなんです。実際にもし2人目の女の子が生まれたら、和来にしようと思っていたそうです。その名前の由来は、ドラマの中で、セリフとして語られます(笑)。それにしても、さんまさんとしのぶさんのやり取りは見事でしたね。『男女7人(夏物語)』のやり取りを彷彿とさせる感じで、見ていて鳥肌が立ちました。必見のシーンです」。
その上で、改めて本作の4つの魅力を語ってくれた。「まず1つ目は、さんまさんが主役ということ。2つ目は共演者。今回、ヒロインは、川口春奈さんと吉田羊さんという、今をときめくお2人にお願いしました。また、ワンシーン出演者も60人以上の方が出ていて、その人がやらないと意味がないギャグとか(笑)、その方でなければ成立しないことをやってもらっています。3つ目は伝わりにくいギャグ(笑)、そして4つ目は、音楽です。音楽を使ったギャグがけっこうあるのですが、必ず意味のある曲を使っているんです。だから『ロンリー』を見ていただく際は、ぜひとも地上波で、リアルタイムでお願いしたいんです。配信などになると、諸事情でその曲が使えず、われわれの意図が伝わらなくなってしまうこともありますので。私としては、番組を見た人にハッピーになってほしい、というのはもちろんなんですが、最初に申し上げたように、『ロンリー』がやりたくてテレビ局に入ったという男の思いで作ったわけですから、これを見て、テレビ局に入りたいなと思ってくれる人がいたらいいなと。テレビも、まだまだやればできるんだぞということが伝わればうれしいです」。
■三宅恵介
株式会社千代田企画代表取締役。1949年生まれ、東京都出身。1971年に慶應義塾大学経済学部を卒業してフジテレビ入社以来、バラエティー番組制作一筋。『スター千一夜』『欽ちゃんのドンとやってみよう!』『笑ってる場合ですよ!』『ライオンのいただきます』『オレたちひょうきん族』『あっぱれさんま大先生』『明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー』『おそく起きた朝は…』『FNS27時間テレビ』など、フジテレビを代表する数々のバラエティー番組の制作に携わる。現在は『はやく起きた朝は…』のプロデューサーを務める。
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