子どもが“鼻水”なめる癖、健康にどう影響? やめさせるには? 対策を看護師に聞く
オトナンサー / 2024年4月21日 6時0分
「鼻をうまくかめない」「ティッシュペーパーが手元にない」などの理由で、子どもが鼻水をなめてしまうことがあります。衛生上好ましくないため、親が、鼻水をなめるのをやめるように注意しても、子どもが応じてくれないことがあります。
そもそも、鼻水をなめた場合、健康上のリスクはあるのでしょうか。子どもに鼻水をなめるのをやめさせることは可能なのでしょうか。対処法について、看護師、公認心理師の伊藤優子さんに聞きました。
■鼻水をなめても大きなリスクはなし
Q.そもそも、なぜ鼻水が出るのでしょうか。
伊藤さん「まず鼻の役割から説明します。鼻から吸い込まれた空気は鼻腔(びくう)を通り、肺へと送られていきます。空気は体内よりも低温であるため、鼻腔内では温度と湿度が適度に維持されています。また、鼻は細かいほこりなどの異物を除去してくれます。
こうしたことから、鼻腔内では適度な湿度を保つために、鼻粘膜から粘液が分泌されています。また、免疫が低下しているときに、細菌やウイルス、アレルギー物質が鼻粘膜に付着すると、鼻は体を守るためにそれらの異物を外に排出しようと働いてくれますが、それがくしゃみや鼻水、鼻詰まりという症状になって現れてきます。そのような働きは防御反応といわれています。
このほか、交感神経と副交感神経のバランスが何らかの原因で崩れてしまうことで、鼻水が多く分泌されてしまうことがあります」
Q.子どもが鼻水をなめてしまうことがありますが、その場合、健康上のリスクはあるのでしょうか。風邪やアレルギーを引き起こす可能性はあるのでしょうか。
伊藤さん「体の状態にかかわらず、鼻水をなめる行為自体に大きなリスクはないといわれています。鼻水は鼻の粘膜から常に分泌されているため、喉に下りて食道や胃に自然に流れていくこともあり、鼻水をなめたからといって風邪をひくとは限らないと思います。
花粉やほこりといったアレルギー物質を『抗原』と言います。アレルギー性鼻炎は、その抗原だけに反応する抗体がつくられることで起きるといわれています。そのことから、鼻水をなめるという行為でアレルギーを引き起こす可能性は少ないといえます」
Q.鼻水の色によって体の状態は分かるものなのでしょうか。
伊藤さん「透明な鼻水は、アレルギー性鼻炎や風邪のひき始めのときに出ることが多いといわれています。また、風邪や副鼻腔炎などを発症しているときは、黄色や緑色の鼻水が出ることが多いといわれています。鼻水が黄色や緑色になるのは、白血球が細菌やウイルスと戦っていることが原因で、鼻粘膜が炎症を起こしていることが分かります。
鼻水が緑色の場合、風邪の治りかけといわれることもあるようですが、副鼻腔炎の可能性もあるため、症状が続くようであれば医療機関を受診するのが望ましいでしょう」
Q.子どもが鼻水をなめてしまう場合、やめさせるにはどうしたらよいのでしょうか。対処法について、教えてください。
伊藤さん「子どもが鼻水をなめていてやめてくれなかったり、ティッシュペーパーで鼻をかんでくれなかったりすることがあると、親としては心配で、注意したくなりますよね。
対処法として、まずはどうして鼻水をなめるのか、理由を聞いてみてください。『気に入ったティッシュペーパーじゃない』『鼻をかんだときに耳が痛くなった』『うまくかめず、鼻水が手に付いた』『友達から、鼻をかんだときの音をからかわれた』など、さまざまな理由があると思います。その理由をちゃんと聞いて、一緒に考えることが大切です。
子どもが『ティッシュペーパーを持ち歩くのが面倒』と答えた場合、なめた方が早く、その場をやり過ごすことができたということが成功体験になっている可能性があります。
人間は失敗した経験、成功した経験の両方から学ぶのが大切ですが、子どもが鼻水をなめることを成功体験だと認識しているのであれば、まずはその思いを受容し、『ちゃんと対処できたんだね』と認めてあげてください。その上で、鼻水をティッシュペーパーでかんだり、拭いたりすることの必要性を教えてください。
そのときに気を付けていただきたいことは、『鼻水をなめることは汚い』『人から汚いと思われる』『親のしつけがなってないと思われるからやめて』などと子どもに伝えてしまうことです。これらは世間体を気にしている発言であり、子どもは親が自分のことをちゃんと見てくれていないと敏感に感じ取ってしまいます。
世間体ではなく、子どものことを思う親自身の正直な気持ちをきちんと伝えてみてください。その思いは幼い子どもであっても伝わると思います。
それでも行為がすぐに改善されなかったとしても、伝え続けることが大切です。子どもは親の愛情を試す行動を取る場合もあるからです。後から親の気持ちに気付くこともあるため、改善されなかったとしても思いを伝え続けることは無駄ではないと思います」
オトナンサー編集部
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