夜中の誰もいないオフィス、不倫相手と二人。いったい何をするの…【不倫の精算#50】前編
OTONA SALONE / 2022年5月14日 22時0分
後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。
不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。
そのお相手はあまりに幼稚で…「派遣先の上司との不倫」
37歳のGさんから「会社との契約を切りました」とLINEでメッセージが届いたとき、「やっぱり」と妙に納得した気持ちになった。
Gさんは独身で、派遣社員として勤務する会社の上司と不倫関係にあった。その影響が悪い方向に出てしまい業務に支障が出ているのは聞いていた。
「機嫌がいいときは褒めてくれるけど、ちょっとでも喧嘩したときは私の仕事にいちゃもんをつけてくる」
「どうでもいい用事で頻繁に話しかけるので、ほかの社員から怪しまれる」
「ほかの男性社員と仲良くしていると遠くからにらみつける」
不倫相手の既婚男性には、40代にあるまじき幼稚さが見えた。
「え、もうそれダメじゃん。
くだらない男だね」
以前、呆れながらそう言うこちらに苦笑いしながら「そうだよね……」と重い口ぶりで返していたGさんだったが、期間満了の前に派遣先との契約を切るのは相当に勇気がいっただろうなと思った。
取り急ぎ、「そうなのだね。お疲れさま」とLINEで返信したところ会って話すことになり、その週の土曜日にランチの約束をした。
派遣期間の途中で辞める。そのとき立てた「大義名分」とは
待ち合わせたお店の前で、こちらに気づいたGさんは目元をほころばせて手を振った。
生成りのワンピースを軽やかな雰囲気で着こなし、新しいであろうまっさらなスニーカーを履いているのが目に入り、彼女の心機一転を垣間見た気がした。
「久しぶり」
笑顔でそう言い合えてよかったなと思ったが、予約していた個室に案内され席についたとき、Gさんはまず「ふう」と大きなため息をついたのだった。
「……お疲れさま」
思わずそう言ったのは、ふたりきりになって気が抜けたらしい彼女の肩が大きく落ちていたからだ。
「大変でした、もう」
こちらを見ずにそうつぶやくGさんは、バッグに手を入れたと思ったらスマートフォンと一緒にガムを取り出した。
「すみません、この部屋は禁煙だからこれ噛みます」
そう言ってマスクを下げると一粒を口に放り込み、ふたたびマスクを戻してからやっと顔を上げた。
「よくがんばったね」
仔細を尋ねるより話してくれるのを待とうと促すつもりで声をかけると、Gさんは
「まあでも、自業自得ですよね。
不倫だし」
と暗い声で返した。
「派遣の期間が終わる前に辞めるって、大変だったでしょう」
運ばれてきたお冷を口にしながらそう言うと、
「はい。
結局、あの人のセクハラが原因ってことにしました」
と、ふたたび大きく息を吐いた。
「……」
不倫は双方に非がある関係、とどこかで思ってはいるが、彼女の場合はこの言い訳も通用するだろうなと想像がついた。
「社会人としてヤバい男ですよね」、それを言うなら職場不倫したあなたはどうなの
「うん、でも、そういうところも確かにあったよね」
Gさんが同じ部署の男性社員と業務の打ち合わせをしている間に割って入り、彼女の腕に触れながら会話を強制してきた話を思い出しながら言った。
「気持ち悪かったです、もう」
ガムを噛みながら、くぐもった声でGさんは答える。
「最初は楽しかったのですがね……」
ふたりが不倫関係になったのは、彼女が派遣されてから3ヶ月後のことだった。
「最初から馴れ馴れしかった」と当時Gさんは話していたが、部署の飲み会で酔った男性からホテルを匂わされたとき、「どうせ期間限定だし」と軽い気持ちで付き合ってしまったのは彼女だ。
「期間限定だったしね」
彼女の言葉を思い出しながらそう言うと、Gさんは黙ってうなずく。
Gさんは、この上司も派遣の間だけ不倫を“満喫する”つもりだろうと思っていた。
だからこそ派遣の身分の自分に声をかけるのだろうし、たった3ヶ月しかコミュニケーションを取っていないのにホテルに誘う図々しさがあるのだ。
最初からカラダ目当てで、双方が納得した不倫関係。
だが、既婚男性の関わり方はちょっと異常だった。
「不倫なのに会社でイチャつこうとするとか、社会人としてヤバくないですか」
頬を動かしながらGさんは言うが、「社会人としてヤバい」ならあなたもそうだ。
それには触れず、「周りからどう見られるか、想像できないのが器よね」とだけ返した。
Gさんが考えていた「楽しい不倫」は、その不倫相手のせいで後味の悪い終わりを迎えた。
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