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平安貴族の「めちゃモテ姫」に必要だった意外な「素養」とは?「現代人でよかった、私にはムリだわ」

OTONA SALONE / 2024年4月3日 11時51分

*TOP画像/まひろ(吉高由里子) 大河ドラマ「光る君へ」13回(3月31日放送)より(C)NHK

 

『光る君へ』ファンのみなさんが本作をより深く理解し、楽しめるように、40代50代働く女性の目線で毎話、作品の背景を深掘り解説していきます。今回のテーマは平安時代における「女性の就業」について。

前編記事『平安時代の庶民が「できなかった」ために苦汁をなめたことって?「現代でも似たようなことがまだ起きてるよね」』に続く後編です。

 

平安の昔から、働く女性は存在した。でも、現代と大きく違うことは

女性も最近になってようやく外に働きに出るようになったというイメージを抱きがちですが、そういうわけではありません。

 

平安時代は中下級貴族の姫君の中にも働きに出る人は多くいました。中下級貴族の娘にとって宮廷は憧れの職場ともいわれています。当時においても出世という概念はあったため、キャリアアップに励む女性も珍しくありませんでした。(清少納言はキャリアウーマンタイプの女性です)

 

いつの時代においても秘書は女性にとって憧れの職業といえるのかもしれません。帝の秘書官的な役割を担う内侍司 (ないしのつかさ)での勤務に憧れる女性は少なくなかったようです。

 

ただし、当時は女性が顔を人に見せることは品位に欠けると考えられていたため、人に顔を見られるリスクの高い宮仕えの女性を好まない男性もいました。

 

また、自活しなければならない事情があって、自分よりも身分が高い貴族の家に女房として仕える女性もいました。藤原伊周の娘の二女は父亡きあと、藤原道長の長女・彰子の女房として迎え入れられています。彼は娘が女房として仕えることを好んでいなかったため、彰子は父の思いや意志に反する出仕でした。

 

もちろん、庶民の女性も働きに出ていました。田主に雇われて田植えをする女性市で商いに従事する女性薪を売り歩く女性もいました。

 

天皇の后の座を射止めるために必要だったのは、美貌や家柄に加えて…えっ、ソレ?

女房とは女官の中でも地位が高く、房(部屋)を与えられる女性です。女房は人にお仕えするという立場からメイドをイメージする人もいるかもしれませんが、メイドに近い立場は下仕えや下女。

 

女房は雑務だけではなく、姫君の教育も任されます。また、皇族の乳母は女房の中から基本的に選ばれました。このため、教養や学があることはもちろん、ある程度の家柄の娘でなければ採用されません。

 

権力者は我が娘が天皇から寵愛を受けられるように、教養ゆたかな女性に育ってほしいと願っていました。上流貴族は教養のある女性や著名な歌詠みを女房として招き、娘の身のまわりの世話、和歌などの教育を任せていたのです。

 

彰子には紫式部だけではなく、和泉式部、赤染衛門など名だたる歌人が女房として仕えていました。彼女の女房は40人ほどおり、家柄が特によく、教養ある女性が多かったと伝わっています。

 

中下級貴族の場合は、母と娘で同じ姫にお仕えすることもありました

最近は、職場に我が子を連れてくることを許可する企業や公的機関が話題に挙がることもありますよね。親が仕事をしている間、子どもは読書や宿題などをして過ごすんだとか。

 

一方、平安時代は母と娘が同じ職場で働くケースも多々ありました。

 

女房の中には幼い頃は女童(7歳から16歳くらい)として仕えていた女性もいます。母親が女房の場合、7歳くらいから母親の勤め先で女童として働く女子も多くいました。

 

紫式部の娘・賢子は母親と同じく、彰子に仕えていました。また、彼女は彰子の妹・嬉子にも仕えており、この縁で出世を果たすことになります。

 

女童は使い走りのような雑用も任されますが、美しく着飾ってサロンや行事、儀式などに参加したり、女主人から和歌を教わったりします。将来は女房、そして立派な妻になることが見込まれています。

 

当時、今でいう小学校や中学校のようなものはなかったため、中流層以上の生まれであれば働きながら、淑女になるための教育を受けるケースもあったのです。

 

参考文献

・服藤早苗『「源氏物語」の時代を生きた女性たち』

・福家俊幸『紫式部 女房たちの宮廷生活』

 

≪アメリカ文学研究/ライター 西田梨紗さんの他の記事をチェック!≫

 

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