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アメリカ系、ドイツ系、中国系……外資で活躍できるタイプ【1】

プレジデントオンライン / 2014年8月6日 8時45分

あなたは外資向き?チェックリスト

いつリストラになるかわからないこの時代、転職は他人事ではない。そのいざというときに、あなたには外資企業という選択肢はあるか。外資といっても、その特徴は国によってもさまざまなのだ。実際に外資系企業で働く人たちに、実態を聞いてみた。

■中国系企業で感じる妙なチグハク感

「大手企業をリストラされて来たっていう人もいるらしいです。家電メーカーはどこも厳しいですからね。いっそのこと、中国系企業で雇ってくれるところがあれば行くという人は急増していると思います。まあ、私もそのひとりですけど……」

東京駅の近くにある飲食店で待ち合わせをした鈴木誠氏(50歳/仮名)は小声でこう切り出した。自身も大手企業出身のエンジニア。国立大学大学院を卒業後、ずっと日本企業で働いてきた真面目な会社員そのものだ。リストラではないが、望まない部署への配置転換がきっかけで転職を決意。中国系企業に入社して1年になる。英語が苦手なうえ、中国語はまったくできないが、鈴木氏はある特殊技術に詳しかったため、採用されたのだという。

中国系企業に転職して鈴木氏が最も驚いたのは「同僚全員が理解し合える言語が一つもない」ことだった。メールや文書などは全部英語。直属の上司は日本人。同僚の中国人との会話は英語になるが、中国人同士はもちろん中国語で話す。会社が費用を持って定期的に飲み会が催されるが、会話はみんなチャンポンで、妙なチグハグ感があるという。

それでも「誰も他人のことは気にしない。会議では人を遮ってでも意見を言わなきゃ存在価値を認めてもらえない。アグレッシブで人を押し出すくらいじゃないとだめなんでしょうね」と語る姿は、ちょっとお疲れモードだ。

業績悪化の家電大手を筆頭に、いまだリストラが続くメーカーから放出された中高年は10万人以上といわれる。日系はどこも厳しいため、転職先として外資を考える人が増えているが、果たして自分が外資でやっていけるのか? と不安にかられる人も多いだろう。外資といえば、やはり流暢な英語力と積極性が求められるというイメージがあるが、どうなのだろうか。

■求められるのは仕事へのスピード

外資への転職斡旋を行うロバート・ウォルターズ・ジャパンの中島英紀氏はこう語る。

「早期退職制度を活用した外資への転職希望者は増えていますね。日系から外資へという場合、外資系企業がまず心配するのが、スピード感についてこられるかという点。日系とは明らかに一つ一つの仕事のスピードが違うので。杓子定規ではなく、同時にさまざまな業務をこなせるマルチタスク力があるか、そして柔軟性があるかという点がポイントでしょうか」

日本企業ではわからないことがあったとき、まず自分で調べてから他人に聞くが、外資の場合はそれよりも走りながら同時に進める臨機応変さのほうが求められる。日本企業では上司に怒られそうなことでも、外資であればプロセスよりも結果重視。真面目にコツコツやっても結果が出せない人は落第で、実績を出した者だけが評価されるという実力主義の世界だ。

仕事力に加え一定以上の英語力も求められるが、職種にもより、一概にTOEIC何点以上はOK、何点以下はダメと線を引くことはできない。中国系や韓国系でも、基本的には第一に英語が優先され、そのうえでもう1カ国できればなおよいといった傾向が強いと中島氏は言う。

鈴木氏のように語学が苦手でも、新興の外資なら技術力だけでものどから手が出るほど欲しい人材だというケースも実は多い。鈴木氏いわく「本人が英語がだめだから採用されないと勝手に思い込んでいるだけ。その人にしかない技術や特性があれば積極的に採用される。その半面、退職率も高いですけど」と言う。

中島氏によると、同社で求人が最も多いのは欧米系で、躍進が著しい中国系、韓国系も募集が増えているとか。欧米系は日本に進出して数十年という企業も多くあり、カラーは千差万別だが、中国系、韓国系はまだ「現地化」が進んでいない分、お国柄からくる特徴を理解しているかどうかで、適応できるかどうかも決まってくるようだ。

ではここで欧米系と中国系に転職して成功し、バリバリと活躍する人の例を見てみよう。

日本の銀行を皮切りに複数の外資系を渡り歩き、現在は米国系金融で働く山田和久氏(39歳/仮名)は、学生時代にアメリカに住んでいたこともあって、物おじせず自分の意見をハッキリと言うフランクな性格だ。銀行にいたときには上司から「生意気だ」と言われていたのに、外資では「おもしろいやつ」と見られるようになり、俄然、仕事がやりやすくなったと語る。

「私は無理して好かれようとしたわけでなくて、外資の水が合っていたんだと思います。入ってみてわかったのは、米国系金融では人事異動はほとんどなく、その人が本国に帰らないかぎり同じ上司に仕えるということ。そして、その上司が自分のクビを切れるなど思った以上の権限を持つということでした。ですので、上司とコミュニケーションを取ることは重要だと思います」

日本企業の会議では、上司が一方的に語り、部下はただ黙って聞くだけという風景もよく見られるが、「米国系ではそれではだめ。ただのイエスマンになってゴマをするとか、食事のお礼を丁寧に言えばいいとか、そういう問題ではない。ビジネスの現場で自分をアピールすること。つまり、ディスカッションの場で自分の意見をきちんと言えなければいけません」と言う。

山田氏は上司に堂々と意見もしたが、仕事の成績がよかったこともあり、非常に気に入られていた。部下が稼いだお金を上司がピンハネする報酬体系になっていたので「稼いできてくれる部下は何だかんだ言ってもかわいい」という金融業界ならではのブラックな一面もあったのかもしれない。

日本企業では考えられないことだが、スタバのコーヒーを片手にポケットに手を突っ込み、アメリカ人の上司のデスクでラフに語り合えるほどの関係を築き上げるまでになった。

「だから、やっぱり英語が苦手な人は不利ですよね。苦手意識があると、どうしても口数も少なくなるので。それと、仕事のうえで自分への権限移譲は日本企業よりずっと大きく、即断即決が求められるのが外資の特徴。任された仕事は、すべての責任を負うぐらいの気概と決断力が求められます」

裏を返せば、日本企業で上司の言いなりになり、滅私奉公的な習慣が染みついている人だと外資に適応するのは難しいのではないか、と山田氏はアドバイスする。

(フリージャーナリスト 中島 恵)

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