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10万人が教え乞うTOEIC指導カリスマの技

プレジデントオンライン / 2018年12月16日 11時15分

TOEICの点数を上げるには、どんな学習が有効なのか。今回、6つのレベル別に「最短ルート」を識者に聞いた。第2回は「400点台」の学び方について――。

※本稿は、「プレジデント」(2017年4月17日号)の掲載記事を再編集したものです。

■リーディングは後回しに

もともと英語は大の苦手だったという鹿野晴夫氏だが、TOEICは335点からスタートし、独学で980点へと飛躍を遂げた経験の持ち主である。とりわけ800点台までは、3年余りで到達したというから、その学習理論が企業のビジネスパーソンたちから注目されるのも、当然のことだろう。

400点台の人が、スコアを伸ばしていくためにはどうすればいいか。カギは「リスニング」にあると鹿野氏は解説する。鹿野氏の分析によれば、TOEICの問題は、高校1年生レベルの語彙・文法の知識があれば600点に達することができる。

「TOEICはリーディングよりもリスニングの英文のほうがやさしいのが特徴で、リスニングに限れば、出題される単語の90%は中学3年生までの単語。先にリーディングから学習しようとすると、難しい単語が並んで出鼻を挫かれるかもしれませんが、リスニングは問題の英文を確認すると、案外今ある知識で対応できることがわかります」

では、なぜ聞き取れないか。それは、英語の「音法」をよく理解していないから。

「音法とは、ネーティブが自然な速さで話す際に起こる、音の変化の法則です。代表的な音法には2つあります。ひとつは“リエゾン(連結)”。子音で終わる単語と母音で始まる単語がつながったときに起こりやすい現象です。例えば「Take it」は、最後の「ke」と最初の「i」がつながってローマ字読みのように「キ」に変化し、「テイク・イット」ではなく「テイキット」と発音されます。もうひとつは“リダクション(消音化)”で、単語の最後が子音、次の単語の最初も子音という組み合わせのときは、最初の子音は発音するときに消えてしまうことが多い。例えば「get there」は、「ゲット・ゼア」ではなく「ゲッゼア」となる。

初めのうちは、音声を聞きながら、リエゾンやリダクションが起こる箇所に○や( )で印をつけてみるとわかりやすいでしょう」

また、単語を覚えるには「声に出す」を意識すべきとも。

「英語というのは、自分で言えないものは聞き取れないものです。これは道案内に似ています。行ったことのない場所を地図で説明するのは難しい。でも実際に行ったことのある道は簡単に説明できますよね。英単語はただ音を聞くだけでなく、実際に発音しながら覚えるのが効果的で、これを『手続き記憶』と呼びます。単語学習は暗記する作業ではなく声に出すトレーニングだと心得るべきでしょう」

この手続き記憶が役立つのは、文法を覚える際も同じ。

「文法を理解するには、理屈を知っておくことは大事です。でも、実は『リズム』で覚えるほうが簡単。例えばTOEIC頻出の単語の1つ『warranty(保証)』。この単語の前に空欄があって、『comprehensively/comprehension/comprehensive』など違う品詞が並んでいる場合。名詞の前なので形容詞を選ぶ、という理屈でも答えは導けます。でも『comprehensive warranty』(総合的な保証)という言葉をリズムや音で覚えていたら、考えなくても3秒で解けるはずです」

▼実際に声に出した英語は、記憶にのこるものです

1冊に要点がギュッ! 頼れるミニ参考書たち
どれも、中学で習う文法が一冊にまとまっている。薄くて軽いので持ち運びにも。「TOEIC Bridgeの問題集を解いて、不安な文法事項があったら、高校入試用の薄い参考書を一冊通読しよう。書店で手にして、気に入ったものを選んでください」


1.学研教育出版編 学研教育出版、600円+税
2.学研教育出版編 学研教育出版、720円+税
3.市村道久著、文英堂730円+税
4.文英堂編集部編 文英堂、630円+税

■ちょうどいい難易度の問題集

500点を取るためには、単純に計算して、問題の半分に正解すればいい。そこで、問題集は中学高校レベルの語彙・文法でほぼ解ける『TOEIC Bridge』の問題に取り組むのがお勧めだ。

「TOEICとほぼ同じ形式で、やさしい問題が出るのが『TOEIC Bridge』です。高校1年生レベルを身につければTOEIC600点を取れるわけですから、この問題集を徹底的にやったほうが効率的に500点台を目指せます。語彙もやさしめで、リスニングのスピードも遅め。現在のレベルに合った難易度の問題に、集中して取り組めます。1回100問で、小1時間あれば1回分解けるので、ボリューム感もちょうどいいでしょう。挫折しにくいのが大きなメリットです」

100問1時間で解ける。“やさしいTOEIC”の問題集
TOEIC Bridgeは、名前の通り「TOEICへの架け橋」として開発された。「まずは、TOEIC Bridgeに出る語彙(=TOEICに出るやさしい語彙)を、確実に習得してほしい。問題集を解いた後、意味を確認し、しっかり音読しましょう」


国際ビジネスコミュニケーション協会1500円+税(2冊ともに)

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鹿野晴夫(かの・はるお)
ビズコム代表取締役
東京都立大学工学部卒業。35歳で英語トレーニング指導のプロに転向。トヨタ自動車など200社以上で英語学習法の講演を行うほか、英語トレーニングスクール(BizCom東京・大阪センター)を運営。受講者は、10万人を超える。共著に『TOEICテストで「高得点を取れる人」と「取れない人」の習慣』(明日香出版社)など。

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(友清 哲)

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