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必ず否定から入る人は自信がなくて不安症

プレジデントオンライン / 2018年11月30日 9時15分

写真=iStock.com/PeopleImages

人に何かを頼んだとき、どうして言った通りにしてくれないのか。その原因は、あなた自身の言い方や口グセにあるのかもしれない。24の症例とともに、改善するための「処方箋」を明らかにしよう。今回は、心理学者の内藤誼人氏に「必ず否定から入る」について聞いた――。(全24回)

※本稿は、「プレジデント」(2016年10月31日号)の特集「『超』ウケる言い方入門」の記事を再編集したものです。

■すぐには答えず、少し時間を置く

自分の言葉が否定から始まってしまうことについて悩んでいるということは、自覚があるわけです。なかには、誰かを否定する言葉を吐きながら、まったく無頓着な人もいて厄介なのですが、自己認識ができているのならまだ大丈夫です。ポジティブに考え、これから直していけばいいのです。

必ず否定から入ってしまうのは、どうしてなのでしょうか。それは、「フラジャイル・ナルシシズム」のせいだと考えられます。日本語にするならば、「壊れやすい自己愛」。強気な姿勢で、自分に自信があるように見せかけているのですが、実際のところは不安に支配されていることをいいます。

実際には自分に自信は持ちきれていないけれど、上に立つ立場として、何か言わなければいけない。そんな場合に、過剰に否定的に相手を従わせようとしてしまう。これがフラジャイル・ナルシシズムの実態なのです。自分のほうが上だ、相手にケチをつけたいという心理は、弱さの表れといえます。

もっとも否定的なコミュニケーションを起こしやすいシチュエーションが、相手に自分のコンプレックスを刺激されたときです。部下が自分よりもいい実績をあげたときなどがわかりやすいでしょう。さらに、自分を昔いじめていた人、父親や兄弟、同級生に顔や話し方が似ているなどの理由でも、コンプレックスは刺激されます。心当たりがある人もいるのではないでしょうか。

もちろん、否定されて嬉しい人はいません。心理学的にも、否定によってより、褒められることで人の行動はより改善されるとわかっています。実際、否定から話を始めてしまうことに悩んでいる人は、うまく褒められないことにも悩んでいることが多いものです。

では、うまく褒めるためにはどうすればいいのか。真に自分に自信をつけられればいいのですが、一朝一夕にできることではありません。まずは、コミュニケーションを改善していくことが先決です。そのときには、ただ漠然と「褒めよう」と思うだけではなく、自分の中で「ルール」をきちんと設け、実践することが大切です。

たとえば、こんな話があります。ある小学校のクラスでは、連絡帳を使って毎日教師と児童がコミュニケーションを取っていました。担任教師は、児童の日々の行動への注意を書いていたのですが、改善されませんでした。そこで、一人ひとりの児童について「一日ひとつ、必ず褒める」ことをルールとして決めたのです。すると、褒めることで問題のあった児童の普段の行動は改まり、クラスの雰囲気もよくなったのです。会社でも同じこと。褒めることをルールにすることで、部下の嫌なところではなく、いいところが見えてくる。それを会話に活かすことで、コミュニケーションを改善できます。

また、すぐに実践できる方法として「タイムアウト」をおすすめします。否定的コミュニケーションを取る人の中には、他者に何かを言われたときに即座に否定することが、体に染みついたクセになっている人がとても多い。

たとえば部下からの報告があったときは、すぐに答えず、時間を置くこと。日程に余裕があるときは、「明日答える」と返して、仕事を終えて自宅でリラックスしてから翌日に返事をする。その日のうちに返事が必要ならば、コーヒーなりタバコなりで一服入れてから、褒めるポイントを見つけて返事をするようにしましょう。タイムアウトを設けることで、否定的なコミュニケーションを避けられるのです。

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内藤誼人(ないとう・よしひと)
心理学者
立正大学客員教授。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。『人は「心理9割」で動く 思いのままに心を奪う「心理学の法則」』など、心理学を応用したビジネススキルに関する著書多数。

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(心理学者 内藤 誼人 構成=伊藤達也 写真=iStock.com)

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