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10代がインスタで"ナチュラルに盛る"訳

プレジデントオンライン / 2019年5月16日 9時15分

「#画像加工」「#加工の仕方」で検索すると、加工方法を紹介している投稿が出てくる(画像=高橋暁子)

10代の女子は自撮り写真を投稿する際、当たり前のように写真を加工する。ただし、そこには「言い訳」を添えることも忘れない。どういう心情なのか。ITジャーナリストの高橋暁子氏は「自撮りは加工してアップするが、自意識過剰とは思われたくないという複雑な思いがあるようだ」と解説する――。

■インスタには「加工方法」の動画がある

10代女子にとってセルフィー(自撮り写真)は日常だ。数人集まると撮り、イベントがあれば撮り、SNSにアップする。Instagram(インスタグラム)などを見ると彼女たちが写った写真が多数投稿されているが、そのほとんどが加工されている。

女子大生を対象とした「カメラ&加工アプリに関する調査」〔2018年7月/「College now(カレッジナウ)」〕によると、写真を撮るためのデバイスは「スマートフォン」が86.3%だが、画質にこだわって「デジタルカメラ(一眼、ミラーレスを含む)」を利用する子も、23.2%と少なくない。GoProをわざわざ購入して利用しているこだわりの子もいるようだ。

加工アプリの個数は、デフォルトカメラのみは21.9%にとどまり、1~2個が35.5%、3~4個が30.4%、5個以上が12.2%だった。加工アプリにこだわる子が多いのも特徴だ。

画像加工といっても、自分の顔をかわいく見せるための加工がメインだ。その後で文字を書き込んだり、デコレーションをしたり、切り貼りのように見せたりする加工も人気がある。加工の仕方は、「#画像加工」「#加工アプリ」「#加工方法」「#手書き加工」「#インスタ加工」などとインスタで検索すれば、やり方を詳細に紹介する動画が見つかるので、まねすることも簡単だ。

10代女子は、どのように自分の写真を加工しているのだろうか。SNSに見る画像加工の今を見ていきたい。

■あえてプリクラで撮影、アプリで加工

10代女子の可処分所得は少ない。その中でもプリクラ代は絶対に捻出するものの一つ。学園祭や体育祭などのイベント時、記念日、友達と遊んだ日などに撮影する。撮影は有料だが、「みんなで撮って、割り勘したら安い」という。「JKブランドは貴重。制服が着られるうちにたくさん撮らないと」と話す女子高生もいた。

プリクラを撮る際には、人気のポーズがいくつかある。両手でハートを作る「両手でハート」、人さし指と親指をずらして作る「指ハート」、うさぎの耳のように頭の上でピースをする「うさぎ耳ピース」、両頰に人さし指をあてる「ほっぺつん」などは、かわいさをアップする効果がある。顔の上下をピースで挟む「縦ピース」や、頰に手を当てる「虫歯ポーズ」は小顔効果があると言われている。それぞれ意味と効果があるし、友達とおそろいでやると仲良しアピールもできる。

■撮影データのためにプリクラを撮る

プリクラと言ってもシールは重要ではなく、撮影データが目的だ。データはスマホに送り、スマホアプリで落書きや加工をするパターンが多い。スマホアプリではなくあえてプリクラで撮る理由は、プリクラなら全身を撮りやすい、人数が多くても撮れる、盛れてかわいく撮れるためのようだ。

プリクラは機種ごとにさまざまな特徴がある。「#アオハル」は、カメラの高さや角度、向きなどをすべて変えられる上、撮影空間が15人入るほど広い。そのため、大人数での撮影や奥行きがある写真の撮影、大きな動きのポーズや座りポーズでの撮影も可能という特徴がある。

プリクラの機種それぞれに特徴があるので、人によって好みの「プリ機」は違うようだ。インスタにも、光をぜいたくに使用し2人撮影に特化した「#ピンモン(PINKPINKMONSTER)」、セルフシャッター搭載で光と影によって好みの涙袋にできる「#コレカワ(これ以上可愛くなってもいいですか)」など、プリ機のハッシュタグをつけるケースは多い。

プリ機のハッシュタグを付けて投稿している ※画像にはモザイクをかけています(画像=高橋暁子)

プリクラを撮り慣れている彼女たちにとっては、「これは盛れるけど、こっちは微妙」「このプリ機最高に盛れる」などと、プリ機によっての違いはとても大きいようだ。

■最近のトレンドは「ナチュラルに盛る」

以前、「整形レベル。誰だかわからない」と、自分の加工したセルフィー写真を見せてくれた女子高生がいた。目は大きく、輪郭も大きく変えられており、確かに目の前の彼女とはまったく似ていなかった。他の友達もみんな目が大きく加工されており、誰なのかわからないほどだった。

ところが、現在のトレンドは変わってきている。基本は「ナチュラル」。「友達も見るし、盛りすぎは恥ずかしい」という。不特定多数にも見てもらいたいが、友達の目を意識して投稿しているというわけだ。

確かに以前のものと見比べると、彼女たちらしさが残った状態で写っているように見える。かわいく盛りたいけれど、誰かわからないような不自然なものは好まず、「ナチュラルな盛り」を意識しているのだ。

10代女子の間では、「インスタ映え」のする写真を投稿する際、同時に「#でも金欠」「#ダイエットしなきゃ」などのネタとも言える通称「言い訳ハッシュタグ」をつけることが定着している。これも、友達の目を意識した行為の一つだ。「自意識過剰と思われたくない。友達に嫌われたくない」のだ。

■コンプレックスのある部分に「落書き」

画像加工アプリはインスタをそのまま使っている子もいるが、フィルターが豊富でセルフィーに特化した「B612」やネズミの鼻や耳をつけるといったかわいい加工ができる「SNOW」、食べ物用のフィルターが充実している「Foodie」、ビューティ&メイク機能が充実した「カメラ360」、プリクラ技術を生かした自然に盛れる「moru」などを場面や撮るものによって使い分けている子も多い。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/stockcam)

自撮りアプリ「Ulike」では、インスタなどで人気のポーズが白い線で表示されるため、それをまねしてポーズをとればインスタ風写真が簡単に撮れる。このように「インスタっぽくしたい」ニーズをかなえてくれるアプリも人気だ。

顔に落書きをしているセルフィーを見たことがある人もいるのではないか。片目をぬりつぶしている子がいたので聞いたところ、「目の大きさが違うから」ということだった。このように、コンプレックスのある部分に落書きする例は多いようだ。

■「令和」の札を持った「#ネタプリ」

それ以外の場合は友達と複数人で撮り、記念写真にしたり、親しいことを確認し合ったり、周囲にアピールする意図で使われる。友達と盛り上がれる「#ネタプリ」も人気だ。こちらはネタを仕込んで笑える写真に仕上げることがポイントで、たとえば「令和」「平成」の札を持って写ったり、かぶりものをかぶって撮ったりなど、いろいろな写真が投稿されている。

それぞれが示すものは、「かわいいと思われたい」「友達と親しくなりたい、親しさをアピールしたい」「楽しい今日を記念に残したい」ということ。つまり、セルフィーは自己表現であり、他人とのコミュニケーション手段と言えるのだ。インスタなどには彼女たちの願いや思いがつまった写真が多数投稿されているので、のぞいてみてはいかがだろうか。

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高橋 暁子(たかはし・あきこ)
ITジャーナリスト
情報リテラシーアドバイザー、元小学校教員。書籍、雑誌、webメディアなどの記事の執筆、コンサルタント、講演などを手がける。著書に『ソーシャルメディア中毒』『できるゼロからはじめるLINE超入門』ほか多数。「あさイチ」「クローズアップ現代+」などテレビ出演多数。

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(ITジャーナリスト 高橋 暁子 写真=iStock.com)

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