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偏差値50台から4カ月で早大法に受かる勉強法

プレジデントオンライン / 2019年10月11日 6時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mizoula

大学受験では「赤本」や「黒本」「青本」を使った過去問対策が重要だ。ただし、勉強法にはコツがある。大手予備校講師の小池陽慈氏は「自分の理解力を把握せず、不安解消のために過去問を解きまくってもダメ。その前に5つのポイントを知っておいたほうがいい」という――。

■「過去問に逃げて」いる受験生はほぼほぼ落ちる

大学受験の本番まで、残すところあと4カ月弱。それまでにどれくらい自分の実力を高められるかにより、泣くか笑うか決まることになります。長年、予備校講師を務めてきて残念に思うのは、その「実力の高め方」を間違えて泣いてしまう受験生がいることです。

そのカギは、赤本・黒本・青本などに代表される各大学の「過去問」の扱い方です。

自分の志望する大学・学部が、どうような形式・内容で出題するのか。それを知ることは、合格を勝ち取るために必要不可欠なプロセスでしょう。まさに「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」。〈彼=志望校の問題の形式、内容〉を知ることができるほぼ唯一の手段が「過去問」なのです。

■偏差値55でも早稲田の法学部や商学部に大逆転合格できた理由

シンプルに言えば、秋から受験直前に伸びる受験生=過去問対策を怠らない受験生といえます。反対に、伸びない受験生=過去問対策をないがしろにする受験生です。

私大文系の予備校生で秋の段階で総合偏差値(英・国・社)が55程度であっても、早稲田大学法学部(偏差値67.5)や商学部(偏差値70.0)に大逆転合格を決める人たちが毎年います。彼らの多くは「相当に過去問をやりこんでいた」と言います。

ただし、ここで、「そうか! とにかくバリバリ過去問を解けば合格に近づく」と単純に考えてはいけません。やみくもに、ただひたすら「過去問」を解けばよいわけではないのです。

予備校にはいろいろな理由で、「受験勉強に専念できなかった受験生」がいます。そして、そういった人たちは、自学自習の勉強の方法やスケジュールの立て方がわからないことがあります。何かをやろうとするのだけれども、何をしていいかがわからない。そのため「とにかく過去問を解きまくる」という“勉強”に走るのです。

その気持ちはわかります。しかし、厳しい言い方をすれば、それは単なる“逃避”です。つまりは、「過去問に逃げる」。このタイプはたいてい失敗します。

■「基本」をやらずして、やみくもに「総合演習」してもムダ

過去問はいわば“総合演習”です。単元別の習熟度を問うようなテストではありません。大学受験に必要な基本学習をすべて終えた受験生に対し、総合的な範囲から出題し、実力を試すものです。

よって「受験勉強に専念できなかった受験生」がやみくもに過去問演習に走るのはナンセンス。やる意味がありません。すべての単元の学習を終えた人向けのテストを、まだすべての単元の学習を終えてない人間が取り組むという、まことにこっけいなことになってしまうのです。

そのような受験生は、過去問に取り組む前に、まずは英語なら英単語・熟語・文法、社会なら歴史の流れの理解や用語、古文なら古語、古典文法の理解や暗記などに集中するべきです。

「今からそんなことやって間に合うのか?」という不安はあるでしょう。しかし、やみくもに過去問を演習する、という無謀なやり方に比べれば、よほどマシな勉強といえるでしょう。

■成績が伸びる過去問のやり方、落ちぶれる過去問のやり方

それでは、単元別の学習をある程度終えた場合、ひたすら過去問を解けばいいのか? 答えは、「否」です。受験対策には個人差があり、これが100%正解というものはありませんが、それでも過去問演習でやりがちな失敗を回避することが重要です。そのポイントを以下にまとめました。

〈過去問のやり方失敗談あるある〉

①取り組むタイミングが遅くて、最後まで終わらない。
②志望順位の低い大学からやり始めた結果、志望順位の高い大学が手薄に。
③各科目の特性を考えないで過去問に取り組む。
④やりっぱなしでアフターケアをしない。
⑤目的意識を持って勉強していない。

まずは、①「取り組むタイミングが遅くて、最後まで終わらない」について。

これは多くの生徒がやりがちな失敗です。過去問を解くのに1教科につき60分、80分、90分などかなりの時間を要します。それに復習の時間が加わる。それを、複数の教科でこなしていかねばならない。しかも、複数校で……。「過去問は年明けからで間に合うだろう……」などという見込みは、かなり甘いと言わざるを得ません。まだ着手していない人は、今すぐにでも取り組むべきでしょう。

次に、②「志望順位の低い大学からやり始めた結果、志望順位の高い大学が手薄に」はどうでしょう。

過去問の取り組みを〈志望順位の低い大学・学部→高い大学・学部〉という順でやっていく受験生は多いです。このタイプは「志望の順位が低いほど、自分にとっては簡単な問題で、高くなるほど難しくなる」と考える。だから、「基礎的なところから始めて、発展的なところは後回しに」という流れになります。

しかし、「志望の順位が低いほど問題は簡単で、高くなるほど難しくなる」は必ずしも正しくありません。たとえば、昔から「現代文が難しい」という評判の早稲田大学でも、社会科学部や商学部、人間科学部などの現代文は、年度による違いはありますが、極めて基礎的な読解力が問われています。

つまり、そんなに難しくはない。対して、東洋大学や國學院大學の文学部は、年度によってはかなりハードな問題を出題します。志望順位と難易度の相関はあまり考えないほうがよいのです。これは僕の専門である現代文以外の科目にもあてはまる可能性があります。

写真=iStock.com/yokeetod
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/yokeetod

■「解いて、丸つけして、正答率出して、終わり」では落ちる

③の「各科目の特性を考えないで過去問に取り組む」は見逃されがちな点です。過去問の取り組み方は教科によって異なります。例えば、僕の知人の英語講師はこう言います。

「英語は時間との勝負という側面が強い。したがって“初見の問題を時間内で解き終える訓練”は、最後の最後までやり続ける必要がある。だから、最低1年分は、直前期の練習のために残しておいたほうがよい」

では、日本史はどうか。先輩の日本史講師はこうアドバイスします。

「日本史や世界史の問題は、しっかりと基礎の勉強をしていれば本番のときに時間が足りなくて苦労することはない。むしろ時間が余るのが普通です。だからスピードトレーニングは必要ないし、同じ問題を何度もこなすことで知識の補充や定着にもつながる。したがって、直前期対策に過去問を残しておく必要などない。ガンガン進めていってよい」

全科目一律に進めるのではなく、各科目の先生に相談し、どのように演習を進めていくべきか、アドバイスをもらうとよいでしょう。

④の「やりっぱなしでアフターケアをしない」も厄介な問題です。

写真=iStock.com/PeopleImages
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PeopleImages

どんな勉強でも、しっかりと復習しなければ、時間の無駄。みな知っている基本中の基本ですが、こと過去問演習については、〈解いて、まるつけして、正答率出して、終わり〉というパターンとなるケースが多い。これこそ、先ほど言った「過去問に逃げる」行為と言っていいでしょう。

例えば、英語や数学、理科社会、古文・漢文などの科目なら、数年分やれば、自分がどんな問題、どんな箇所で間違うことが多いのかがわかるでしょう。そうしたら、その単元や知識を、問題集や用語集などで重点的に学習し、弱点を補うことができます。

現代文や小論文に関して言えば、出題される文章はその大学・学部ごとに好みや傾向があります。例えば、早稲田大学の法学部や商学部あたりは、「国民国家」論を出題する傾向が強い。であるなら、過去問を演習し、採点した後、その文章を徹底的に読みこんで、そこに書かれてある内容を理解しなおし、頭に焼き付けておくことは、かなり有効な学習法になるはずです。

さらに、本文に登場しながら注の付いていない語句は、その大学においては“受験生の知っておくべき常識”と判断されているので、それらの語句の中で知らないものがあったら意味調べをし、ノートにまとめるなどという作業もよい勉強になります。

つまり、過去問は「採点結果よりも、採点した後のケアが大切〉ということを強調しておきたい。

■合格する過去問のやり方には「コツ」がある

最後は、⑤「目的意識を持って勉強していない」です。

漠然と過去問をやるより、一定の「目的」をもったほうが効果は高いです。現代文の場合の「目的」はこうしたものが考えられます。他の科目にも似たことが言えるのではないでしょうか。

・スピードトレーニング
・各大学の特定の出題形式に慣れる
・体力付け
・現時点での自分の理解度を確認する

「スピードトレーニング」に力点を置くなら、複数ある大問の中から一題だけ、しかも時間をシビアに設定(例えばセンター試験の評論なら18~20分ほど)して解くスタイルが適当かと思います。

また、「特定の形式に慣れる」も大事です。例えば、東大の文理共通問題や一橋の要約、早稲田法学部の記述問題を含む大問、早稲田文化構想学部の融合文などは、一定の枠組み、形式の踏襲が見られます。その形式に慣れることは、これらの大学で高得点を取るために、非常に大切なポイントとなるはずです。そのためには、やはり他の大問は置いておき、当該大問だけを集中して数年度分解く、という方法がよいでしょう。

写真=iStock.com/mizoula
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mizoula

「体力付け」とは、本番の指定時間内にすべての大問を読み、解くための「体力」を身につけることです。このためには、大問ごとに演習するのではなく、古文や漢文を含めたすべての大問を、決められた時間内に通しで演習することが不可欠です。

最後は「現時点での自分の理解度を確認する」という点。これは、問題の処理速度はいったん置いておき時間無制限で取り組むことによって、その問題に対する理解力の有無を確認する作業です。具体的に言えば、一定の理解力が身についているならスピードトレーニングに移り、理解度が低いなら過去問はいったん中止して、基礎的な問題集に戻る。そこで無理してスピードトレーニングをしても意味がありません。

こういった「目的意識」をしっかり持つことで、過去問演習は意義あるものになります。

この時期、過去問をうまく活用できれば成績を向上させ、受験する大学・学部特有の問題に特化した得点能力を身につけることも可能です。それこそが、冒頭で触れた偏差値55でも早稲田法学部や商学部に逆転合格といったミラクルを起こすのです。反対に、過去問に逃げて、勉強をやったつもりでいてはミラクルは期待できない。ただ時間を浪費するだけであることを忘れてはいけません。

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小池 陽慈(こいけ・ようじ)
予備校講師
早稲田大学教育学部国語国文科卒、同大大学院教育学研究科国語教育専攻修士課程中途退学。現在、大学受験予備校河合塾、および河合塾マナビスで現代文を指導。7月末刊行予定の紅野謙介編著『どうする? どうなる? これからの『国語』教育』(幻戯書房)で大学入学共通テストに関するテキストを執筆。

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(予備校講師 小池 陽慈)

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