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"親の財産は家屋だけ"は骨肉の相続争いになる

プレジデントオンライン / 2019年11月17日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bee32

■なぜ富裕層では争いが少ないか

相続で兄弟姉妹が揉めるのは、相続額がさほどではないケースが多いようです。そうなるのは準備の差でしょう。

富裕層にはビジネスオーナーが多く、自身の会社で契約している弁護士や会計士とは個人的にも知り合いになっています。このためそうした人から「あらかじめ考えておいたほうがいいですよ」と、相続についても注意を受けていることが多いのです。そして早くから「その日」のための準備をしています。

何かあれば気軽に診察に行ける病院とは違って、弁護士などの法律家は一般の人にとってはまだハードルが高い存在です。相続に関しても、家族の大事な問題なのに、親の財産をもし相続したら「相続税がかかるかどうか」も知らない人が多いでしょう。「あらかじめ対策しておこう」という気持ちがない。そこが富裕層と一般の人との違いです。

現預金をそのまま持っているより、不動産にしておくほうが相続税は低く抑えられるし、生命保険を利用するだけでも、かなりの対策になります。富裕層の方たちは日頃から相続税法を意識していて、税率を軽減する方法についても調べています。

■親の残した財産が家屋くらい

一方、一定以上の資産を持ちながら富裕層の自覚がない人もいます。そういう人は、親が亡くなって家屋を相続することになり、土地家屋調査士に値段を訊いてみたら、「相続税の対象になる」と言われて仰天します。相続税の対象にはならなくても、親の残した財産が家屋くらいしかない場合は、事前準備がないと財産分与の際に兄弟姉妹間でどう分けるかで深刻な争いが起きるといいます。

弁護士というと、「裁判や企業同士の契約などに関わる、特殊な職業」という印象をお持ちの方も多いと思いますが、一般の方への私のお勧めは、そうした認識を改め、富裕層を見習うことです。法律関係の職業の人に知り合いをつくり、日頃からアドバイスをしてもらうとか、何か問題が起きたとき気軽に相談できるような関係を持っておくのです。

弁護士と友達になるのはハードルが高いと感じたら、「町の法律家」と呼ばれる行政書士はどうでしょうか。行政書士は、遺産分割協議書など事実の証明に関する書類の作成が認められており、法務的観点から個人や企業に対して幅広いアドバイスができます。裁判の代理ができないという以外は、弁護士とほとんど同じ業務ができるのです。

そんな行政書士がもし近所にいたら、町内会で集まるような機会に、「帰りに一杯やりませんか」と誘ったりして、知り合いになっておくといいでしょう。

特に相談はなくとも、半年に1度ぐらい一緒にご飯を食べて、「向こう10年くらいで、何に気をつけていればいいでしょうか」などと訊いてみる。プロの話を無料で聞くのは感心できませんから、アドバイスに対しては相談料レベルの謝礼を出すといいでしょう。そうやって次に顔を合わせたときに、「何かあったら相談してください」と言ってもらえるような関係をつくっておくことです。

【対策】町の法律家・行政書士と仲良くしておく

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増渕 達也(ますぶち・たつや)
ルート・アンド・パートナーズ代表取締役
富裕層マーケティングの専門家。1992年、東京大学卒業。電通勤務を経て、2002年に独立。06年から現職。富裕層向けライフスタイルマネジメントサービスを提供している。

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(ルート・アンド・パートナーズ代表取締役 増渕 達也 構成=久保田正志)

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