1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

松木安太郎の子育て「犬を猫だよと教えたワケ」

プレジデントオンライン / 2020年1月11日 11時15分

解説者 松木安太郎氏

■良くも悪くも自分が思っていることを伝えるだけ

僕のサッカー解説の「名フレーズ集」がネットに出回っているみたいで。自分では言ったことをあまり覚えていないんですが、「ふざけたロスタイム」はよく覚えています。

2011年アジアカップグループステージ第2戦、本田圭佑のPKで奪った勝ち越し点をなんとか守り抜いたのにロスタイムが6分もある。普通ロスタイムなんて3分程度。ありえないと思って、自然と出た言葉です。

基本的に解説の仕事は、ピッチ上での試合内容がすべてなんです。今ここで何が起きているかをわかりやすく伝えるのが自分の役割だと思っています。もちろん、基本的な情報は試合前に確認しますが、余計なことを考えず、良くも悪くも自分が思っていることを伝えるだけなんです。

ただ、意識していることはあります。僕は「応援団」でいいと思っています。専門用語はあまり使わず、初めてサッカーをご覧になる方とも一緒になって熱く盛り上がる。僕の場合、日本代表を解説することが多いので主語は日本代表でいいわけです。日本代表が主語なら、ひいきは大前提。じゃないと視聴者の方も面白くない。いつでも観ている方ファーストです。

サッカー解説の仕事を始めた頃はもっと堅い、「よそいき」の解説をしていたこともあります。それが少しずつ、自分の素が出てきたというか。サッカーも盛り上がらない試合がありますから。大きく点差がついたり、チーム力の差が大きい試合は選手も観ている側も辛い。それでもなんとか盛り上げよう、いいところを探そうと考えています。

■子どもを育てるときに犬を「猫」と教えていた

講演でも同じです。初めて講演のお仕事をいただいたときは話すことを全部紙に書き出して練習しました。出来は最悪でしたよ。ダメなんです、自分の言葉じゃなきゃ。たとえ流暢に話せない部分があったとしても、自分の言葉でしゃべったほうが伝わります。

もちろん講演を聞いてくださる皆さんの反応を見て話の内容を変えることもあります。でも100人が100人満足できる話はできるものじゃない。僕は賛成も反対も半分ずつの5対5でいいと思っています。そう思えれば、自分をさらけ出すのも怖くありません。僕は質疑応答も結構好き。どんな質問もウエルカムです。「女性関係以外、なんでも聞いてください」なんて、講演会の最初に言っちゃうんです。すると打ち解けてくれるし、いろんな質問をしてもらえます。

僕の場合は、自信があるというより、「自分はこれでいいや」「まあいいか」と思っている節があります。僕ね、子どもを育てるときに犬を「猫」と教えていたんです。僕もドイツで「シャイセ」という言葉を教わりました。ドイツの選手が皆使うから意味もわからず真似していて。食事中に口にしたら「何を言ってるんだ?」と。実は「クソ」の意味だった。

「違う」と気づいた瞬間に人は成長する、自信を持って言えるようになるということです。そう考えると、若いうちに恥をかいたほうがいいですね。僕だって一日の終わりに反省することがありますよ。今日はうまくいかなかったなあ! なんて。でも若い頃にオウンゴールを全国ネットで放映されたときよりはマシだなと考えると、「まあいいか」と思えるんです。

----------

松木 安太郎(まつき・やすたろう)
解説者
読売クラブ(現東京ヴェルディ)に入団し、日本リーグ初優勝をはじめ数々のタイトルを獲得。ヴェルディ川崎、セレッソ大阪監督を歴任。現在は解説者として活躍。

----------

(解説者 松木 安太郎 構成=東 雄介 撮影=大槻純一)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください